今こそ軍備増強より日中友好を!

 ロシアのウクライナ侵攻に絡んで、最近は中国の発展に関しても、「力による一方的な現状変更は何処であれ認められない」とする主張が連日のように新聞紙上などにも現れる。

 しかし、中国が仮に万一、台湾を攻撃したとしても、台湾が中国と一つの国であることは、アメリカも日本も正式に認めていることであるから、中国の国内問題である。非難はしても介入すべきことではない。

 尖閣問題などは何処の国同士にもありがちな国境線の問題で、話し合いで解決すべき範囲の問題で、直接アメリカや日本、世界の平和を危険に晒すような問題ではない。

 現在の時点で、現実に東アジアの国々に生存に関わるような危険が迫っているような問題はない。言うならば、中国の発展に対する妬みや、先行きの不安の表れに過ぎないように思われる。

 それをわざわざ「力による一方的な現状変更は何処であれ認められない」とか、ロシアの侵攻「インド太平洋では許さぬ」などと言って、緊張をもたらすのは、日本の方針というより、アメリカの政策に乗せられている節が強い。問題があるなら、陰で非難するするのでなく、それを主張して直接話し合うべきではなかろうか。

 武装を固めて敵基地攻撃能力だなどと言うより、先ずは外交的に緊密な連絡を取り、直接話し合いを深め、平和的に解決することを優先させるべきであろう。近隣諸国との友好を深めることが、こういう事態であればこそ、武力増強で緊張を高めるより必要なのではなかろうか。

 それなら折角の岸田首相の外国訪問の機会だったのだから、タイやベトナムに行くのなら、どうして中国をも訪れて諸問題を話し合って来なかったのであろうか。中国と敵対するより、友好関係を築く方がどれだけ日本の国益にかなうことだろう。

 アメリカの動向にばかり振り回されずに、日本はもっと自律的に近隣諸国と友好関係を結ぶべく努力すべきではないか。今こそ日本の外交力が試される時である。それこそ敵基地基地攻撃能力云々よりも、はるかに強力な安全保障になる。

 ロシアのウクライナ侵攻のような事がアジアでも起こることを心配するなら、尚更、軍備増強よりも先に、平和外交をして、近隣諸国との友好関係を深めるべきではないか。

 現在、日本と中国の間には基本的に争わなければならない重大な問題はないし、中国が今日本に軍事的な侵略や攻撃を仕掛ける心配はないだろう。尖閣列島はいわば国境問題、話し合いで時間をかけて相談すれば済む問題である。

 ウクライナのような事があればある程、アジアの平和や、近隣国との協調を考え、今こそ軍事ではなく、外交に力を入れるべき時ではなかろうか。是非日中友好関係を復活、進化させてもらいたいものである。