最近気がついたが、朝から晩まで「よっこらしょ」なり「どっこらしょ」なりを何遍言うことだろう。いつ頃から始まったのかわからないが、若い時にはこんなことはなかったので、歳をとって仕事を辞め、一日中家にいることが多くなってからのことであろう。この頃は、この掛け声をかけないと体が動かないのかと思うぐらい、体を動かす度に絶えず口にしているようである。意識して言っているのではなく、自然に口から漏れてくるのである。
先ずは朝目が覚めて、ベッドから起きる時である。「よっこらしょ」と声をかけないと布団の中から起き上がれない。次いで、起きてベッドサイドに腰を下ろし、服を着替えて、立ち上がる時にはまた「よっこらしょ」と言う。トイレに行って入れ歯を入れ、用を済ませて、パソコンの前に座る時にも、必ずまた「よっこらしょ」と声が出る。
朝食のテーブルに着く時にも、食事が済んで立ち上がる時にも「よっこらしょ」を繰り返す。朝の体操を済ませ炬燵に潜り込む時にも「よっこらしょ」、炬燵から出る時にも「よっこらしょ」である。体を奮い立たそうとして意識して言っているわけではない。自然に口をついて出てくるのである。
どうもこの掛け声がかからないと体が動かないので、無意識にこの号令をかけることによって体を動かしているかのようである。動きたくなくなった老体に鞭打って動かすために、中枢が無意識に号令をかけて動かしているかのようである。体の方は「よっこらしょ」と号令がかかるので仕方がないから動き始めるようにしているのであろうか。
朝だけではない。「よっこらしょ」は一日中続くのである。机に座る時も、立ち上がる時も、書棚から何かを取り出す時も、踏み台に登る時も、ちょっと席を立って、戻ってきて座り直す時にも、何かの用で呼ばれて席を離れるような時にも、意識しないでも同じ「よっこらしょ」を繰り返すことになる。
どこかへ散歩にでも出掛けて、一休みする時などは当然「よっこっらしょ」と言って腰を下ろすが、また歩き出すために立ち上がる時にも、同じ掛け声が自然に口から漏れてくる。
一体「よっこらしょ」と一日に何回ぐらい言うのだろうか、数えてみようかと思ったこともあるが、朝から晩まで延つ幕なく繰り返すことだし、殆ど無意識に言っているので、いちいち覚えてられないので、数えられなかった。数えようと思えば、自動的に声をチェックして機械的に記録でもしないと無理であろう。それぐらい繰り返しているようである。
いずれにしても自然に湧き出る「よっこらしょ」はむしろ自然の摂理のようなもので、その声に励まされて老体が動いているのであり、それに合わせて、あまり無理のかからないように体を動かすのが良いのではないかと思っている。