9/11から20年

f:id:drfridge:20210906105035j:plain

 あのニューヨークのWTCビルに飛行機が突っ込み、ビルが崩壊した9.11事件からもう20年経ってしまった。その時、テレビで直に飛行機がビルの突込み、黒煙を上げてビルが倒壊し、逃げ遅れた人たちがビルから振り落とされるように落ちてくる姿が今も昨日の事のように思い出される。現実を見ているというより、何かの映画のセットの一シーンでも見ているのではないかという気がしたものだった。

 その直後から、世界は変わった。丁度その後、アメリカへ行った時のことも忘れられない。まるで戦時中だった。人々が皆愛国者を振る舞い、すべての走るクルマに星条旗が掲げられ、空港ではあちこちに銃を掲げた兵士が見張り、皆がテロを気にして、アタッシュケースを置いてすぐ横の窓口に何かを買いに行っただけで、不審物だとして近くにいた女性がガードマンを呼ぶような張り詰めた空気が漂っていた時代であった。

 やがて、ブッシュ大統領が世界中に、アメリカの味方か敵かを問い、ヨーロッパや日本まで従えたアメリカ軍が強引にアフガニスタンイラクに攻め入り、以来長い間の中近東の戦争が今までずっと続くことになってしまった。その結果がどうなったかは最近のアメリカ軍のアフガニスタンからの成果なき撤退となったことは周知のことである。

 米ソ冷戦が終わり「歴史の終わり」とも言われ、アメリカが世界の支配者となったかに思われた時に起こったこの9.11事件は確かに一つの時代のエポックを画するものであり、ある意味では、アメリカの頂点を示すものでもあり、また一方では、その凋落の始まりを暗示すものでもあったのではなかろうか。

 9.11事件の真相については、今だに分からないことが多い。飛行機が上部の階に突っ込んだからといって、WTCビルが2棟ともに、根底から崩れ落ちたのは何故か。ペンタゴンの墜落現場に全く飛行機影がが見られなかったのは何故か。飛行機が突っ込んでいないビルまで根底から崩壊したのは何故か。それに、あのような大掛かりなテロが、誰にも知られずに、外国のテロ組織だけで果たして可能だったのか等等。当時から疑わしいと思われ、未だに解明されていない事が多過ぎる。

 このような時には色々なデマが飛び交うことが多いのが普通である。何千人という自国民の犠牲を払ってまで、アメリカ自体がでっち上げのようなことをするかという疑問もある。しかし、アメリカという国の歴史を見ると、米西戦争の時の戦艦メイン号の爆発事件以来、でっち上げ事件が繰り返されているので、すべてのアメリカの報道を鵜呑みに出来ない事情もある。ベトナム戦争トンキン湾事件も、イラク戦争の核開発も、いずれもでっち上げだったことが判明している。9.11についての人々の疑惑を否定し去るのが難しいのも故なしとしない。

 しかし、時代はそんなことにはお構いなしに進んでいく。9.11から20年経ち、アフガニスタン戦争もイラク戦争も済んでしまった。いずれでも、アメリカの思惑とは違った歴史が始まりつつある。もはや元に戻すことは出来ない。今ではアメリカの関心は中近東より中国である。アメリカが20年の年月と何兆ドルもの大金を投じて対テロ戦にうつつを抜かしている間に、同じ時間と大金を投じた中国の発展はめざましく、今やアメリカの独占を脅かしかねない大国にまで成長してしまっているのである。

 同じ時間と金の投下の違いによる両国の結果が興味深い。まだまだアメリカの優位は続くであろうが、アメリカもここらで遅れた他国に自分の都合の良いように圧力をかけたり、潰しにかかるのを止めて、共存共栄の発展に役立てるように政策の変更を試みないと、やがては、アメリカが世界の潮流に乗り遅れることにもなりかねないことにも気付くべきであろう。