テレビなどで、よく国際社会がどうの、こうのと言われるが、その国際社会とは一体何を指すのであろうか。国際社会というから、世界全体の社会のことだと思っていたら、ロシアは国際社会から非難されているので、どうもそこには入っていないようである。中国も最近はしきりに「一方的な国際社会の変更を許さない」などと言われているところを見ると、国際社会には入っていないようである。
日本のテレビや他のメデイアの言うのを聞いていると、国際社会なるものは、どうも世界を指すものではなく、アメリカの君臨する、いわゆる西欧社会に 日本などの従属国を加えた国々の集まりを指しているもののようである。
人口にして世界の約10%、7億7千人。世界純資産の60%を持ち、GDPにして世界の32〜46% を占めているが、面積は世界の 極く一部と言っても良い。上の世界地図を参照にして下さい。
ソ連崩壊後、アメリカが世界の警察官として、殆ど全世界を支配していたので、その頃の時点では、国際社会、イコール国連を中心としたアメリカが君臨するほぼ全世界といっても良いぐらいであった。
しかしその後、中近東やアフリカ、イラクやアフガニスタンなどへのアメリカの侵略戦争の破綻などの結果があるところへ、中国の発展、東南アジアやインド、アフリカ、南アメリカ諸国なども徐々に力をつけ始め、アメリカの混乱もあって、その世界支配が弱まり、相対的にアメリカの力の衰えが見られ、アメリカ支配の旧国際社会も、その内容が次第に変わりつつあるようである。
ロシアのウクライナ侵略にあたって、アメリカはNATO だけでなく、国連を経て、世界中に働き書け、世界中の一致した声としてロシアを非難しようとしたが、中国だけでなく、インドや東南アジア、アフリカ諸国、中南米諸国からも同調が得られず、アメリカと西欧だけで対処しなければならなくなったのは、世界の歴史の変化を示すものであった。
世界の人々は、国連憲章に反して他国を侵略したのがロシアが初めてでなく、アメリカが大量破壊兵器を隠しているといって国連憲章を無視してイラクに侵略したが、結局、大量破壊兵器はなかったことをよく知っているのである。
今やアメリカやその手先である日本の報道で使われる「国際社会」という言葉は、世界を指すものではなく、アメリとNATOを中心とするいわゆる西欧社会を指すものととらねば、判断ミスを起こすことにもなりかねない。
昔、第三世界と言われていたアジアや中近東、アフリカの国々も次第に発展し、無視できないようになってきている。インドネシアももう何年か先にはGDPで日本を追い抜くだろうと言われている。インドも世界一の人口大国となり、発言力も次第に大きくなって来ている。南アフリカや南アメリカ諸国なども次第に力をつけつつある。
経済的にも国際的な取引では今まで殆どがドルでの決済であったのが、ウクライナ戦争後のアメリカの制裁も絡んで、ドル以外のルーブルや中国元、その他の自国通貨による決済も増えているようである。
今世紀の後半には、経済的な世界地図も大分変わるのではなかろうか。先進した西欧諸国に追いつき、追い越しかねない他の諸国の発展により、世界の力関係も徐々に変化していくであろう。世界は徐々にではあるが、確実に変わりつつある。
もう私には見れないが、来世紀あたりの地球の人類の歴史がどうなっていくのか、楽しみである。