このところの新聞やテレビなどのマスコミは、菅首相の後任の自民党総裁選のことで持ちきりである。コロナ対策では、まだ緊急事態宣言が続いており、医療の切迫がなお続き、依然として自宅で死ぬ人までまだいるのに、そんなことは放っぽり出して、自民党の総裁選の下馬評に夢中である。
菅首相の評判があまりにも悪いので、次の首相を期待するのも分かるが、総裁選は殆どの国民が投票出来るわけではなく、自民党の中だけでのことである。総裁選の後に総選挙があるとはいうものの、野党がそれに対して4党で共同戦線を張り、市民連合を作り政権交代を目指しているというのに、そちらについての記事は殆どない。
総裁選もこれはという、多くの人に希望を抱かせるような人物がいるなら兎も角、菅首相の選択は最低であったが、後任を狙って立候補した顔ぶれを見ても、岸田、河野、高市の各氏ということで、今の自民党にはいよいよ期待を持てる人物のいないことを表しているようである。
岸田文雄氏は前回の総裁選でその知名度が課題となって、菅首相に敗れ、もうこの人はおしまいだと言われた人物。真っ先に名乗り出て、あちこち積極的に回っているらしいが、森友加計問題で再調査を仄めかしたが、党内の反発を買って忽ちトーンダウンしているなど情けない。
河野太郎氏は、かってのボスの二世だが、大分変わり者だという評価がもっぱららしい。国会内でも異常な行動が多いそうだし、記者会見を見ても、記者の質問に全く答えず、「次の質問」「次の質問」と言うだけで、終わってしまう有様で、およそ大臣の態度ではない。SNSでも、気に入らぬメールはすべてブロックしているとかでも有名な御仁らしい。かっては原発再開に反対していたが、今回安全な原発は再開させると態度を変えているのはけしからん。
高市氏は安倍晋三の後援を受けているが、この最右翼のおばさんにだけは首相になって貰いたくない。それこそ空恐ろしいことになりそうである。保守団結の会に所属し、憲法改正を唱えている。ただし、保守的な自民党では女性は不利であろうし、まだ年齢から言っても本命とは思われていないようである。
こうして、この三人を比べて見ても、いずれにも期待出来ないし、いよいよ自民党には実力者がいなくなってしまったのだなあと思わずにはおれない。
それに対して、折角、野党が立憲民主党、共産党、社民党に、れいわ新撰組まで加わって、4党で市民連合を組み、政権交代を狙おうと言っているのだから、マスメディアはもっとそちらも宣伝してやるべきではなかろうか。現在の状態では、多くの国民の期待は自民党よりも、むしろ野党にあるのではなかろうか。
ここらで自民党は一度終わりにして、出直して貰うようにした方が良いのではないかと思うのは私だけではなさそうである。