植民地の新聞

 1月20日にアメリカの新大統領が就任式を行い、就任演説で、「米国人と我々の国を結束させることに、全身全霊を捧げる」と訴えたようである。

 これまで、アメリカが世界を引っ張るような形の世界情勢が続き、日本も米国の保護国のような形で来ており、トランプ元大統領がアメリカファーストを掲げ、他国との協調にヒビが入っていたので、新大統領の誕生に広く期待が持たれている。

 当然、新聞でも大々的に報じられている。しかし。1月22日の朝日新聞を見て驚いた。一面の大見出しに「結束へ全身全霊」「バイデン米大統領就任」「分断克服訴え」とあり、「民主主義 立て直す時」としたアメリカ総局長のコメントがつけられており、一面ほとんどを埋め尽くしている。後は「天声人語」や、「折々のことば」などの他は、左端に「安里議員に有罪判決」の記事が唯一の国内記事として載っているだけで、あとはすべての紙面が米大統領就任の記事で埋め尽くされている。

 ページをめくって二面を見ても、広告以外はすべてアメリカ大統領就任に関する記事がすべてである。更に、三面記事までトップは「対中強硬姿勢は維持」というアメリカ新政権の見通しの記事が、「東京五輪、無観客検討」や「特措法改正案」に関する記事を抑えている。

 現在コロナウイルスの感染が広がり、緊急事態宣言が発せられているにも関わらず、感染拡大が止まらず、議会が始まり、ここまでの感染拡大についての、GoTo政策の失敗への追求、特措法についての、休業や生活の補償、罰則などの議論など、問題が山積しているのに、これらの身近な問題の記事は影が薄い。

 アメリカの大統領の交代は世界に及ぼす影響も大きいが、あくまでアメリカの国内のことであり、そこに日本が関与しているわけではない。それより、切羽詰まったコロナ対策や、それに関わる問題は、新聞読者や一般の国民にとって遥かにに切実な問題である。

 ところが、今朝の新聞の一面は、まるでアメリカの日本語新聞のようである。正に日本というアメリカの植民地にいて、その新聞を見たような気がしたのは私だけであろうか。アメリカ政府の出来事が世界に与える影響の大きいことは良く分かるが、日本で、これだけコロナが猛威を振るい、その解決に追い詰められ、政府の責任が問われている時に、まるで日本は平穏無事で何事もなく、安里議員の有罪判決がトップ記事になる位のことしかないかのようである。 

 日本が未だにアメリアかの植民地であることを、嫌でも見せつけられている感じがしたのは私だけであろうか。いつになれば、日米安保条約などを対等な条約にして、日本がアメリカと対等の独立国に復帰する日が来るのであろうか。