PCR検査はなぜ増えないのか

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 中国や韓国はコロナ対策として、初めからPCR検査を大規模に徹底してやって、見事にコロナ感染の拡大防止に成功した。初動に失敗して、世界一の感染国になったアメリカも今は大々的にPCRをやっている。アメリカにいる娘もただで検査を受け、陰性だったそうである。

 日本では初めから、PCR検査を増やす、増やすと言いながら、いつまで経っても、なかなか思うように増えない。3月にオリンピックの中止が決まるまでは、政府が感染を少なく見せるために、 PCR検査の実施を抑えているのだという話もあったが、それ以後も、安倍首相も、加藤厚労大臣も、PCR検査を増やすと言いながら、いつまでたっても増えない。7月になっても、まだ保健所でも、近くの診療所でも、たらい回しにされて、検査を受けられなかった感染者が問題になったりしている。

 世界の214ヶ国でのPCR検査実施率を見ても、日本はどこの先進国にも遠く及ばず、世界での順位を見ると、最近のデータで、アフリカのウガンダカメルーンの間の159位に位置するぐらい、常識はずれに少ないのだそうである。

 検査を増やすと医療崩壊につながるとか、無症状の人は感染させにくいから、検査は労力とお金に無駄だとか、PCR検査は!00%正確でない、健常な偽陽性者が多く出て、隔離で人権問題が起こるなどということを言ったりする人まで出て、反対する人もいたそうだが、日本医師会の新会長は8月5日の定例記者会見で、新型コロナウイルス感染症の最近の状況に触れ、医師の専門家集団の立場から、「新型コロナウイルス感染症の今後の感染拡大を見据えたPCR等検査体制の更なる拡大・充実のための緊急提言」を公表している。

 PCR検査が進んでいない現状があることを挙げるとともに、「医師が必要であると認めた場合には、確実にPCR等検査及び抗原検査を実施できるよう緊急提言を取りまとめ、国に対しては財源を確保した上で、その実現に努めるよう強く求めていくとしている。

 また、しびれを切らした世田谷区は独自で大量の検査を始めると発表したし、東京都医師会長も検査を拡大して行うと言っている。政府も拡充するとは言いながら、もう半年もかかっているのに、一向に問題の解決につながっていない。政府はなおも広げるには時間がかかる。検査を広げても3割の偽陽性が出る、その人たちをどう扱うかなど問題があるとなど言って、検査を増やすことに消極的である。

 民間の検査体制も推進されて来ている。全自動の検査機器も日本で開発され外国へ輸出されているのである。唾液からの検査も可能になった。五人分をまとめて検査する方法も出来るようになった。それでもまだ医師が必要だと認めてもPCR検査を受けられない人が後をたたない。

 国も公式にはいつも、拡大すると言っている。それにもかかわらず、いつまで経っても解決出来ないのは、大規模な検査体制の構築に失敗しているからであろう。政府が本気になって金を出し、推進すれば出来るはずであるが、どうもバラバラな機関をまとめて、強力な指導力を発揮するべき政府の力不足なのではなかろうか。

 主な窓口である保健所は手いっぱいでお手上げであるし、民間の検査機関は体制を整えても、依頼が増え萎えれば採算が取れないと言って及び腰である。無料で出来る範囲も限られている。お盆休みを控えての政府の対応も今やバラバラである。政府はGoToで帰れと言うけれども、感染者の増えた自治体では独自の緊急宣言を出す所さえあり、国民はコロナの感染を心配して、どうしたものかと決めかねている。

 最近は安倍首相は沈黙したままだし、厚生大臣も最近はさっぱり顔を出さない。GoToキャンペーンなどの担当大臣である経産大臣が、もっぱら表面に立っている。この政府内の不一致がPCR検査が増えない要因ではなかろうか。コロナのウイルスがいなくなれば、経済は普通に回るのである。コロナの押さえ込みに成功した国に倣い、徹底したCPR検査の実施こそがコロナ流行を乗り切る手段であり、経済再生につながると思うがどうであろうか。