日本のIT化は遅れている

 新型コロナの流行で三密を避けよう、Social Distancing、Stay Homeなどと言われ、多くの人が仕事を休まざるを得なくなり、その補償が色々問題となったが、紆余曲折を経て、随分遅くて不十分だが、補償の方法や額も大分決まって実行される漸く実行されてきつつあるようである。

 何だかんだと問題を抱え遅くなった全国民を対象とする「特別定額給付金」として一律10万円の支給もやっと決まって実施されだした。ところが、日本の官僚制度の市民サービスの貧弱さによって、申請や実際の給付のトラブルが続いている。

 初めは申請者が殺到して三密の問題が起こりかねないので、マイナンバーを持っていれば、それを用いてオンライン申請をすれば便利だということだったが、マイナンバーの暗証番号の再登録などで、混み合って混乱し、申請してもマイナンバーと住民基本台帳 が紐づけされていないため、いろいろトラブルが発生して、思うように使われず、オンライン申請を受け付けないとした自治体も出てきたりして、結局、現段階では郵送申請をした方が良いことになってしまった。

 ところが書類による申請だと、申請された書類をダウンロードして、住民基本台帳と照合し、申請者の氏名や生年月日などに誤りがないかを2人一組の読み合わせと目視で確認するなどに時間を費やし、処理できるのは週1,000件程度だということらしい。ますます時間がかかり、中々申請者の所まで届かない。

 私も申請書類が届いてすぐに提出したが、実際に金が振り込まれるのは6月一杯ぐらいはかかるだろうと言われている。未だに口座にには振り込まれていない。私の甥は母親が施設にいるので代理申請をしたが、本人確認のために戸籍謄本まで求められたそうである。本来ならば国が戸籍を把握しているのだし、住民基本台帳もあることだから、その上に不要のはずである。折角マイナンバーを作っても、一向に事務の効率化さえ進んでいないようである。

 同じコロナ対策としての中小企業向けの持続化給付金とやらは、オンラインでなければ申請出来ないことになっているが、それでは申請出来ない事業主もいるので、ヘルプするシステムを作ったらしいが、こちらでも申請事務はスムースには進んでいないようである。どうも日本のオンライン申請は、まだ問題なく使える段階にまでいっていないようである。

 外国と比べて随分遅れているようである。、新聞によると、韓国にも緊急災害支援金なるものがあり、一世帯あたり、100万ウオンが支給されるそうだが、こちらでは、オンラインの申請には1分もかからなかった由である。支援金をクレジットカードなどで受け取れるので、そのクレジットカード会社のホームページや携帯電話のアプリで簡単に手続きが出来、2週間ばかりで97%の世帯に届いたそうである。

 日韓は給付金の財源となる補正予算をまとめるまでの道筋は極めてよく似ているそうだが、支給のスピードと効率は全く対照的なようである。IT化が進んだ韓国の行政インフラが、紙中心の日本のアプローチよりも迅速な行動に適しているのが鮮明に示されている。

  ヨーロッパでもコロナの休業補償があり、ドイツ在住の日本人も休業補償をオンラインで申請すればやはり1週間もかからず送って来たそうである。イギリスでも休業補償制度の申請は企業が従業員の情報と金額をオンラインで入力するだけで、申請すれば4〜5日後には入金される由である。中国のIT化が進んでいることもよく知られており、コロナに関しても武漢の閉鎖の場合には、いろいろな目的で、いろいろなアプリがフルに活用されたこともよく話題に上った。

 どうも、日本のオンライン化は他国と比べて恐ろしいほど遅れているようである。小中学校の休校によるオンライン授業なども殆ど行われていないようだが、中国や韓国と比較しても、かなりの遅れをとっているそうである。

 このような遅れは単に機械的なオンライン化の遅れだけではなく、官僚機構の縦割りや複雑さ、上から与えてやるといった態度なども関係して、事務的、機械的に効率よく出来るものさえ、遅くてまずいものになっているようである。官僚機構の構造上の問題も関係しているように思えてならない。

 このコロナ危機を逆にチャンスと捉えて、官僚のセクショナリズムなどを排し、いろいろな面で使いやすいオンライン化、IT化を進めなければならないのではなかろうか。