しっかりしーや ガースー

 新型コロナの第三波がいよいよ拡がって、渋っていた菅内閣も、とうとう緊急事態宣言を出すに至ったが、果たしてどうなるのだろうか。首相は1ヶ月で必ず改善と言っているようだが、誰も信用していないであろう。今となってはもうそんなに簡単にはことでは済まない。

 政府のコロナ対策はこれまで、全て失敗して来た。中国や台湾、韓国などが初期に徹底的に押さえ込んで成功したのに、日本では、せっかく第一波が比較的軽く収束しかかったのに、最後のトドメを刺さないままに、利権も絡んで、経済のためとして、コロナが収束した時にするべきGoToトラベルを、慌てて始めたのがそもそもの間違いであった。

 政府はヨーロッパやアメリカに比して、アジアの感染状況が軽かったのを見て、コロナを軽視したのであろうか。秋から再び感染者が増加して来ても、経済にこだわって、GoToを促進し、厳しいコロナ対策を取ろうとしなかった。その挙句、感染が増大した11月になって、国民が皆心配するようになっても、「勝負の3週間」と言って、簡単に抑え込めるとでも思ったのであろうか。全然効果がなかったのは当然である。

 そこまで来れば、最早徹底的に抑え込む手段を取るべきだったのに、なお、何ら新たな手を打たないまま、正月休みまで待って、自粛を呼びかけるだけで、年末の野党の特別措置法改正の法案提出も無視して、早々と国会も閉じ、会食を控えろと言いながら、首相自ら会食をするなどのこともあり、すぐにやるべきGoToトラベル中止なども遅れ、正月に押さえ込もうとしたが、予想通り、中途半端でこれも失敗した。

 とうとう正月の明けから急増した感染者の急増に、緊急事態宣言を出さざるを得ないところまで追い詰められてしまった。それでもなお経済のことを考えて、限られた政策しか打ち出せていない。これでは今回も1ヶ月で改善出来るとは思えない。

 緊急事態なのだから、もっと国民の犠牲に答えてコロナ感染を確実の抑え込む、思い切った対策を打つべきであろう。「飲食関係」を抑えるのは間違っていないだろうが、飲食業者にとっては死活問題である。思い切ってオリンピックを中止、軍事費を削ってでも、保障を手厚くして、国民の犠牲に充分答えられるだけの補償に予算を回し、もっと広範な、徹底的な感染予防策を取るべきであろう。

 コロナの流行が続けば国民の命も守れないし、経済も立ち行かなくなるのである。二兎を追う者は一兎を得ずである。先ずはコロナを退治して、それから経済の回復を図るべきであろう。

 今回も失敗して、対応が遅れ、感染が長引く程、人々の生活への影響も大きくなり、対策への協力も得られなくなって行く。経済への打撃も大きくなることは明らかであろう。

 菅内閣の支持率も急速に落ちているが、こういう危機の時こそ、首相が陣頭に立って国民に直接呼びかけることが何よりも大事な時である。下を向いて原稿を読んでいる時ではない。記者会見を短時間で打ち切ってしまうのでなく、何度でも国民の前に出て来て、雄弁に語り、直接話しかけるべきである。このままでは感染は静まらない。

 「しっかりしーや ガースー首相」と言わざるを得ない。