「珠洲原発」なら大変なことだった

 今回の能登半島地震では、能登半島の付け根に近い志賀原発も施設にトラブルが生じ、原子力規制委員会は今回の地震の影響に関する知見を収集するように原子力規制庁に指示し、今後のリスク評価なども迫ったそうである。原発の外部電源を受けるための原発内の変圧器が損傷し、油漏れが発生、普段とは別系統の外部電源に切り替えたのでトラブルは避けられたが、漏れた油は2万リットル以上に上り、一部は惻溝から海に流れ出たということらしい。

 大事に至らなかったから良いようなものの、地震による原発の危険性を再び知らしめた事態である。しかし、この志賀原発は元は今回の地震震源地でもあった珠洲市に造られる予定であったものが、住民などの反対も強く変更されたものだということらしい。もし初めの計画通り珠洲に造られていたと思うと、ゾッとさせられる。変圧器のトラブルぐらいで済んでいたとは思えない。それこそ福島原発の二の舞になっていた可能性が高い。

 未だに後始末さえ目処がつかない福島の教訓を忘れて、政府は今や再び原発の再稼働、再開発に動こうとしているが、国中が地震の断層に囲まれているこの国である。原発のあり方にはもっと慎重に、注意深く、全面的な廃止も含めて、根本的に考え直すべきではなかろうか。

 福井県若狭湾に密集して造られている一連の原発など、真剣に安全性を考えておかないと、地震ばかりか、外部からの攻撃にも弱く、一連の原発の破壊は国の存亡にも係るものだという認識が不可欠である。

 幸い今回の地震による原発の被害は住民の反対により造られなかった珠洲原発でなくて良かったが、もし計画通り珠洲市に造られていたら福島よりもっとひどいことになっていたのではなかろうか。住民は分断された道路で逃げることも出来ず、地震の被害におぶさる様にして起こった原発爆発によって致死的な放射能を浴び、どんな悲惨なことになっていたことであろう。

 この際、ここでもう一度考えなおし、思い切って原発を全て廃止することにして、国民の命を守ることを優先させる路線に切り替えて貰いたいものである。