誤嚥防止講習会

 近くの公民館で老人向けの「誤嚥防止講習会」なるものがあったので覗いてみた。ベテランの保健婦さんが講師で、実演付きで熱心に丁寧な説明があった。

 先ずは食事を口腔内で歯で咀嚼し、それを舌と両側の口腔粘膜でうまく丸めて食塊を作り、飲み込み易くし、それを奥へ押し込み、気道を塞いで食道へ飲み込むわけだが、歳をとって口腔の動きが少なくなり、唾液の分泌も悪かったりすると、飲み込むのも下手になり「食べこぼし」や誤嚥などを起こし易くなる。

 それを防止するには、平素から体全体、殊に上半身を出来るだけ動かす様にし、食事の時には姿勢を正すことなどにも気をつけるべきであろう。その上で、歳をとって動きが悪くなった口腔の運動なども意識して、日頃からなるべく動かす様に心がけるべきなのであろう。

 口を大きく開けて「あ」と言い、「い」と言って口唇をしっかり伸ばし、「う」と言って口をすぼめる運動をしたり、「ベー」と言って舌を出して、前後、左右、上下に動かす運動を、日頃から繰り返す様な習慣にしておくと「食塊の形成」や「その輸送」「飲み込み」の向上につながるわけである。

 そんな説明の中で、その口腔内の動きを餅つきに例えていたのが興味深かった。歯が杵で、食物を砕いて柔らかくし、舌と左右の口腔粘膜で、手のようにそれを捏ねて、呑み込みやすい食塊にするというわけである。

 次にこうして出来た食塊をの呑み込むわけだが、この時には喉頭の気管と食道の分岐点をうまく通過させることが大切になる。うまく声帯を閉じて気管を閉鎖し、食塊を食道に送り込まなければならないわけだが、この声帯の動きも年と共に鈍くなり、誤嚥しやすくなる。

 これを防ぐには声帯の動きをうまくコントロールするかとが必要になる。そのためには声帯の動きを日頃から鍛えておくのが良いが、これについては、今度は「パ」「タ」「ハ」「ラ」(もしくはパタカラ)と口に出して繰り返すと良いと言われたりしているが、要は日頃からはっきり言葉を言う癖をつけておくことが良い様である。

 なお、それよりも喉仏の動きをチェックしながら水を飲む訓練をするのが良いとも言う人もいる様である。われている。確かに老人では誤嚥性肺炎が死因になることも多いし、そうでなくとも誤嚥して咳き込む様なことはよくあることで、私にも経験がある。せいぜい『あいうベー」や「パタハラ」など繰り返すことにしようと思っている。