先制攻撃をしても軍隊は持たない?国

 日本国憲法を一度読んでみて下さい。それがどんな経緯で作られたものであるにしろ、この憲法に書かれたことは、国民と政府の約束の根幹なのである。ここに書かれてあることに従って、国民は政府に政治を行なってくれと言っているわけなのである。

 ところが上の文章を見て、もう一度国民が政府としている約束を確かめて下さい。今更ながら、誰しもこの文章と現実とのあまりにも大きな違いに驚かざるを得ないでしょう。

 いつの間にか「新しい戦前」と言われるように、きな臭くなって来ている咋今であるが、上の通り「戦力は保持しない」と憲法にはっきりと書かれているのに、現実の日本には、戦車もミサイルや軍艦も、戦闘機やオスプレイもあるし、敵基地への先制攻撃が可能なミサイルの配置さえ進んでいる。軍事費も全国家予算の2%にすると言っている。あまりにも憲法の文言との乖離に驚化されるばかりである。新聞によれば米軍の宇宙軍にまで自衛隊は加わるようである。

 この憲法が出来た時には、日本には軍隊はなかった。それが1950年に警察予備隊が作られ、やがてその重武装化が進み、保安隊を経て自衛隊となった。自衛隊は戦車も持つようになったが遠慮して戦車と言わずに特車と言われていた。

 1954年には海外派兵禁止となったが、1980年には武力行使をしなければ海外派遣も可とした。1999年には周辺事態法で米軍の後方支援を可能とし、2014年には海外派遣を拡大した。次には、PLO協力法や国際緊急援助と次第に活動範囲を広げ、ついには集団自衛権まで可能とする憲法の解釈まで変えた平和安全法制を成立させるにまで至った。

 もはや誰が見ても、憲法の記載との間の乖離に驚かされないではおれない。常識的に誰が見ても、誰が読んでも「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」と書かれた憲法と、現在の現実の日本の自衛隊やその戦力の実態とが合致しているとは思えない。

 しかも今や先制攻撃が可能なミサイルを南西諸島の島々に実際に配置し、軍事費を国家の総予算の2%にまで引き上げ、更には、今や殺傷能力のある武器輸出までしようとしているのである。普通の人の普通の常識からして、これでも憲法に従って軍隊を持たない国と言えるのであろうか。

 これが現在の日本の現実なのである。行き詰まった政府は、憲法を改正してこの矛盾を解決しようとも企んでいるが、まさに政府や国会議員こそが、憲法を守る義務を課せられていることを知るべきである。憲法の九十九条には以下のようにはっきり明記してあるのである。

第九十九条
天皇又は摂政及び国務大臣国会議員裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。

 国民は政府との基本的な約束である憲法を政府にきっちりと守らせ、軍隊を持たない平和な国の維持をどうしていくかを、アメリカとでなく、先ずは国民と政府で話し合って進めていくべきである。