韓国に抜かれる日本

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 JAPAN as No.1などと言われたこともある我が国だが、1990年代のバブル崩壊以来30年近くにも及ぶ経済の停滞が続き、アベノミクスの2%物価上昇も2年の目標が10年近く経っても成功せず、トリックルダウンも言葉だけで実現せず、労働者の賃金は先進国の中で唯一低下気味で、平均賃金は2015年には韓国にも抜かれ、そこにコロナの災厄が加わって、貧困者が増え、子供の7人に一人が貧困児であるとも言われている。

 平均賃金は2020年の基準購買力平価によってドルに換算して、日本は2000年から2020年まで3.8万ドルから3.9万ドルと殆ど横ばいだったのに対し、韓国ではその間に、2.9万ドルから4.2万ドルと1.4倍になったので、2020年には韓国の実質賃金が日本より9%ほど高くなったそうである。

 日本では経済面での成長が止まり、重、軽工業の生産拠点は、早くに中国や他のアジア諸国に移ったばかりでなく、家電やテレビ、パソコンなどの分野でも追い抜かれ、ひと頃は世界の頂点にあった半導体も、今や5Gの高速通信規格の先端半導体製造拠点も日本にはなく、韓国のサムスンか台湾のTSMCに依存するよりないということらしい。

 更に、米国など諸外国が金融正常化に動く中、日銀だけが量的緩和策を継続しており、この状態は通貨価値を下げる要因となり、円安が進む条件が揃っている日本人の実質的な可処分所得が大幅に減ることに繋がり、国内消費は深刻な影響を受けるだろうと言われている。 

 現在の為替水準は1970年代半ばとほぼ同水準だそうで、日米の賃金格差も拡大しており、日本はすでに事実上、1ドル=200円程度の貧しい時代に逆戻りしているとも言われている。このまま資源価格の高騰と円安が続いた場合は、更に全世界の物価上昇率もに上がるだろうから、日本人が被る損失はさらに巨額となる可能性も高いとか。

 世界の国々の経済競争力を見ても、スイスの国際経営開発研究所の世界経済競争力によると、2017には日本25位、韓国27位だったのが、2021年には日本31位、韓国23位と逆転し、デジタル技術でも韓国8位に対して日本27位であり、電子政府ランキングでは193ヶ国中、日本14位、韓国2位ということで、日本人が気付いていない内に、いずれも日本は韓国に抜かれてしまっているようである。

 なぜ韓国が日本より豊かになるのか? その理由は明らかで、日本の技術開発がが停滞している間に、韓国は技術開発に力を注ぎ、生産性を上げているからである。

 世界の大学ランキングを見ても、その20位までに入る大学の数は、中国7、韓国4、香港4、シンガポール2、台湾1であるのに対し、日本は東大6位、京大10位

の2大学に留まるのである。ノーベル賞の受賞者が多いと言っても、それは過去の業績を表しているだけである。

 日本は少子高齢化で人口減少傾向にあるが、なお人口は1億2000万人 強で、韓国の5,200万人より遥かに大きいので、GDPなどで見ると、なお韓国より大きいので、日本人には今なお韓国に抜かれた実感がなく、日本より下に見勝ちであるが、現実はこのように変化して行っていることに気が付くべきであろう。

 ここらで漫然と自民党政権の継続に委ねず、政権交代なり、大胆な改革を果たして、新しい社会を作っていかねば、この国の将来が危ぶまれるであろう。