猪名川の鳥たち

 家の近くの猪名川の河原には色々な鳥がやって来たり、生息している。

 雀や鳩をはじめ、烏に鳶、椋鳥、それに水鳥の鴨や白鷺、青鷺、鵜などもいる。時にはひょっこり「ヒタキ」が一羽で顔を出したり、「セキレイ」が素早く飛んでいったり、燕が堤を掠めて行くこともある。百舌鳥が高い木の上で鳴くこともある。鵯もやってくる。名前がわからないが、渡鳥の大群がやってきて、忽ちどこかへ去ってしまうこともある。

 ひと頃は雀が減り、椋鳥が群れをなしていたが、最近は雀がまた少し増えて来たようである。椋鳥は集まって集団行動するのが好きなようで、堤の斜面に集まって賑やかであるが、烏も時に大勢集まって水浴びをしている。それぞれ仲間が集まって行動しているが、あまり排他的ではなく、鳩が陸に上がった鴨の群れと一種にいるのも見られるし、鳩に餌をやる人がいると、雀や烏も寄ってきて、一緒に餌を食べていたりする。

 ある時は、河原に大勢の黒鵜が集まっているところに、一羽の青鷺が近づいて行くのを見て、どうなるか観察していたことがあるが、鵜の方は一歩一歩近づいてくる青鷺に道を開けてやるような格好で、お互いに何の干渉もなく進み、やがて鵜の群れの方が飛び去って行ったことがあった。

 また色々な人がいるもので、わざわざ家から細切れの鶏肉などを用意して来て、鳶に餌をやる人がいて、いつもはあまり鳶を見かけないのに、その人が来ると、何処からともなく一羽の鳶が現れて、その人が餌を上空に向かって投げるのを見て、急降下して、うまく空中で餌をキャッチして飛び去る芸当を見せてくれたこともあった。

 同様に、青鷺にも餌をやる別の人もいて、いつも決まった所で、決まった時間にやるらしく、その時間の少し前になると、何処からともなく一羽の青鷺がやって来て、近くの屋根のてっぺんに留まり、餌をくれる主人の来るのを待っていることがある。そして、餌が放り上げられると、こちらもさっと飛び降りて来て、ものの見事に空中で餌を取って、飛び去ったのであった。

 こうして色々な鳥類が河川敷を住処として生きているが、一番目立つのは白鷺、青鷺である。どちらも比較的に大きいのと、白い色が目につくからである。青鷺の方が少しばかり大きいようだが、青鷺は孤独を好むのか、いつも一羽だけで、川の中や川沿いの岩の上などに立って、いつまでもじっとしていて動かないことが多い。橋の欄干に止まっていることがあって、近付いて写真を撮ったが、それでも殆ど動かなかった。

 但し、こんなこともあった。万博公園の池の岩の上にじっとしている一羽の青鷺がいたので、背景の池と築山の紅葉に、池の鯉や亀なども入れて写真を取ろうとして構えていたら、突然空中から一羽の鳥が飛んで来たと思ったら、じっとして動かなかった青鷺が、突然跳び上がり、飛んで来た鳥と一緒にさっと飛び去って行った。飛んで来た鳥の方が少し小さく、羽の黒と白のコントラストが鮮やかで、どうも留まっていたのがオスで、飛んで来た方がメスのようであった。その時、初めていつも孤独な青鷺にも恋の相手のいることを知ったのであった。

 青鷺が孤独なのに対して、白鷺は大抵群れをなしている。どうも家族のようで、少し大きさの違った鳥が集まっている。いつだったか川の少し下流の方に行った時、対岸の叢の下の川岸に、子育てを思わせる白鷺の巣らしきものを発見したが、それから注意して見ていると、子供が少し大きくなって、近くで泳ぎを教えているのか、親鳥が見張っている近くで、小鳥たちが遊んでいるいるような時もあった。

 それから1〜2ヶ月後に、いつも通る川のあたりに、大勢の白鳥が飛来して来ていたが、大小取り混ぜていたので、或いは以前に巣の近くで見た家族ではなかろうかと思った。

 ただ、白鷺については、青鷺に対して白鷺がいるものとばかり思っていたら、白鷺という種の鳥はいないそうで、ダイサギチュウサギコサギという違った種に分かれるようで、普通に多いのはコサギだと説明されていた。機会を見て望遠鏡ででも確かめなければと思っている。