「自宅療養」

 コロナが流行してから「自宅療養」という言葉がやたらと使われているのが気になって仕方がない。誰しも、変だと思いませんか。

 コロナ(Covid19)は間違いなく、世界中に拡がってしまった感染症です。感染症に対する対策は、薬も何もなかったペストの時代から、先ずは感染者を一般の人々から隔離して、病気が周囲の人たちに感染するのを防ぐことが第一の原則であることには、誰もが認めることでしょう。そのためには、先ずは、それまで自宅にいて普通の生活をしていた感染者を、社会から切り離して隔離することです。こうして少しでも病気が広がらないように手を打つた上で、隔離された病人の治療を行うということになるわけです。

 ところが、今回のコロナの場合、なぜか「自宅療養」というカテゴリーが早くから言われ、軽症の場合には感染しても、そのまま自宅に留め置かれる人も出てきました。自宅療養マニュアルという本まで出ていました。

 急に感染症が広がり出すと、当然病院の病床が不足することになりますので、入院出来るようになるまで、自宅で待って貰う自宅待機の期間があるのは仕方がないでしょう。しかし、感染症は放っておけば周りの人に病気をうつし、病気を広げることになるので、これは最低限にすべきです。

 既存の病床数が足りなくなれば、病床を増やすとか、やりくりしなければならないが、それでも足らない時は臨時の病棟を作ったり、それも出来ない時には、せめて隔離だけでも出来るように仮の隔離施設を造って、患者を収容するのが伝統的なやり方でした。

 今日のように独り住まいの人が多くなれば、自宅でも隔離出来る場合もあるでしょうが、数が多くなれば、離れ離れの各自宅を訪れ患者の容態を観察し、処置などするのは不便で効率が悪くなります。それに家庭内感染も起こりやすいものです。 

 纏まった臨時の施設に収容し、そこで纏めて面倒見る方が効率も良く、急の病変にも対処し易いでしょう。これまでは、歴史的にも感染症に対してはこのような処置が取られてきたものでした。

 ところが、今回のコロナの感染拡大の時に限っては「自宅療養」という言葉が盛んに言われています。近所の医師が訪問して診療しているようなこともあるようですが、パンデミックのような時には効率が悪いし、多くの場合には、自宅療養と言っても、実際には「自宅待機」に過ぎないようです。

 「自宅療養」の実態は「自宅待機」か「自宅放置」であり、それを誤魔化して「自宅療養」と言っているものです。戦争中、自軍の「全滅」を「玉砕」、「退却」を「転進」と言い、戦争に負けたのに「敗戦」と言わずに「終戦」と言い、「占領軍」を「進駐軍」と言い換えて使ったのと同じです。どうしてこう誤魔化さねばならないのでしょうか。

 国民はあいも変わらぬ政府の言い換えに誤魔化されず、家族に感染を拡げる前に、「自宅療養」の実態を理解し、政府に「自宅放置〜自宅待機」を廃止し、緊急に隔離施設を作り、先ずは、そこへ感染者を全て収容し、そこで判別して、入院なども決めるようにすべきでしょう。

 そうすれば、隔離が完全に行われるし、最低限の治療も受けられるし、今では最早パンクしている保健所の業務も効率よく進められるのではないでしょうか。

今や手遅れ気味ですが仕方ありません。 大急ぎで急遽、大規模な隔離設備を作るべきです。