先日テレビで中国のトイレ革命の映像が流れていた。
昔行った頃の北京のトイレのことを思い出して、懐かしい感じもしながら見ていた。ヨーロッパなどでは街の中に公衆トイレが少ないので、観光であちこち行きたい時には、出発前にホテルで用を済ませ、途中立ち寄ったカフェーなどでは必ずトイレを利用するような注意したものであったが、北京ではどこにでも公衆トイレがあり、その点では大変便利であったことを覚えている。
ただし、昔の北京の公衆トイレは大変な場所だった。大抵仕切りもなく溝が掘ってあるだけのような作りで、仕切りも何もない開けっぴろげな空間で、そこで人が並んで溝にまたがって用を足しており、新聞を広げて読んだり、隣で用を足している人と話をしていると言った有り様であった。しかも、そんな公衆トイレがあちこちにあるのだが、どこにも結構人が入っていたのに驚かされたものであった。
旅行者など見慣れない者が入っていくと、皆に一斉に見られ、衆人環視のもとで用をたすといった感じであった。従って男の旅行者はよいとしても、女性にはきっと耐えられない環境だったに違いない。その頃の北京の家にはトイレのない家が多く、住民が皆近くの公衆トイレを利用しているのだという説明を聞いたものである。
ところがテレビによると、習首席の声かけもあり、最近は積極的に公衆トイレなどの改善が進み、清潔な水洗トイレが急速に普及しつつあるようである。いろいろな例が紹介されていたが、面白いと思ったのは便器を全て個室にして男女の区別を無しにする傾向があるそうである。こうすれば日本などでどこでも見られる男性用は空いているのに女性用はいつも行列ができるという問題を解決出来ることになる。
確かにこれはひとつのアイディアであろう。今後LGBT対策も考慮しなければならなくなるであろうことなども考えると、限られたスペースを有効に利用して多様な需要に応えるには、男子用のオープンな朝顔式便器をなくして、トイレを全て個室にして洋式便器を備え、出来ればウオッシュレット付きにし、手洗い場所を女性にも使いやすくすれば、全ての人の使いやすい公衆トイレが出来るのではなかろうか。
ただテレビでも言っていたが、どんなトイレにするにしても、一番の問題は出来た後のトイレを如何に清潔に使い、維持していくかという事のようだが、これはどこの国にも共通の問題であろう。トイレの技術に関するノウハウではおそらく日本が最も進んでいるであろうから、こんな機会を捉えて日本のトイレメーカーの出番が回ってくるのではなかろうか。