植民地の植民地?

 

 「翁長雄志知事による辺野古埋め立て承認の取り消しに対し、沖縄防衛局は行政不服審査法に基づく審査請求と執行停止を国土交通相に申し立てた。」と新聞は報じている。
 菅義偉官房長官は10月14日の会見で「防衛省で承認取り消し理由を精査した結果、瑕疵(かし)はない」というが、翁長知事は第三者委員会の報告を踏まえ、公有水面埋立法に照らして前知事の埋め立て承認には法的瑕疵があると判断したもので、県は行政的な理由を積み上げたのである。
 これに対する政府の姿勢は民主的手続きに反するもので、地方自治の理念をも逸脱している。昨年の県知事選で、県民は埋め立てを承認した前知事の公約違反を批判し、新基地阻止という民意の実現のため翁長県政の誕生を選択しているのである。政府はこの事実から目を背けてはならない。県民の選択を尊重すべきである。

 それにもかかわらず、政府はこういう長年にわたる沖縄の強い民意を知りながら、全く無視してまで基地の辺野古への移転を強引にすすめているのである。先の安保関連法案の強引な成立を見てもわかるように、もはや政府は国民のために政治を行っているのではなく、アメリカ政府の指示に従って動いているとしか考えられない。

 沖縄の基地は日本政府がアメリカに提供した貢ぎ物のような存在で、それを提供することによって出来るだけ国内(本土)の国民の反対を少なくして、アメリカへの従属関係を維持していこうというのが政府の基本的な方針なのである。植民地日本(本土)がその植民地?の沖縄をアメリカに提供している図である。

 繰り返せば、政府は決して沖縄を「本土」と同じ国土と見做しているわけではなく、むしろ沖縄という植民地?を犠牲にして「本土」の平穏を保とうとしているようである。東京に近いアメリカ軍の基地のオスプレイの訓練を沖縄で行うという新聞記事が出ていたが、それもその一環であろう。

 断片的な情報を繋ぎ合せて想像するよりないが、どうも実際にこの国の政治の根幹を動かしているのは表には出ない月二回行われている日米の事務レベル協議会のようであり、それに従う官僚が政府を動かし、安倍内閣もも根源的にはその上で踊らされている構図と言ってもよさそうである。

 沖縄の問題は裁判沙汰になるであろうが、日弁連も沖縄を支持しており簡単には済まないであろう。しかし、政府は力ずくでも辺野古移転を進めようとするに違いない。その結果は沖縄独立運動ということになるのであろうか。私は一人でも多くの人がこの沖縄の基地問題に関心を持たれんことを願うとともに、同じ同朋として沖縄の人たちと一緒に平和な日本を守りたいと思う者である。