安倍政権はアメリカの出先機関か?

 沖縄県や沖縄の人々の強い反対を押し切って、いよいよ沖縄の辺野古基地の埋め立て工事の土砂投入を政府は今月中にも始めるようである。

 沖縄の基地反対の声は一部の人たちだけの声ではない。自民党から共産党まで全てと言ってもよい人々が一致して反対していることは、先の故翁名知事のオール沖縄の組織でも明らかであるし、それを引き継いだ現玉木知事の選挙やその後のはっきりした態度でも起きらかである。これまでの度々の選挙の結果でも証明されている。

 沖縄の人々の歴史を見ても、誰しも沖縄の人々の米軍基地反対の心情はよくわかる。戦争で四人に一人が死ぬという過酷な歴史の上に、米軍により土地を奪われて巨大な基地が作られ、沖縄の人たちは限られたところに密集して住まねばならなくなり、その上、今でも米軍の事故や犯罪などによる被害が次々に起こ理、苦しめられている。

 沖縄へ行って小高いところから周囲を眺めて見るがよい。緑豊かで良さそうに思える所は殆どが米軍の基地や、関連した区域、米軍用住宅地などであることがわかる。日本の米軍基地の殆どが沖縄に集中しているのである。アメリカの都合だけでなく、日本政府が内地の米軍基地によるトラブルを避けるために、多くの基地を沖縄に集中するように仕向けた面もある。

 そのような過酷な条件にさらされながら70年以上も耐えて、安保条約による基地などの本土の負担までを一手に引き受けさせられてきた沖縄の人たちが、これ以上の苦しみを避けたいと願うのは当然である。これまでの数々の選挙でも、民意は必死になってその意思を示してきているである。

 それにもかかわらず、政府は基地建設を問答無用で強行しようとしているのである。安倍首相が繰り返す「沖縄の民意に寄り添って」という言葉がいかに空々しいか誰にも明らかである。政府は沖縄の民意よりも、アメリカの都合を優先していることのである。

 いかに日米同盟を重視するにしても、これだけ沖縄の人々の一致した反対があれば、日本国民のための、沖縄の人々のための政府であれば、もっと沖縄の人たちと話し合いを続け、知恵を絞って代替案を考え、アメリカとも交渉して方針を変えるべきではないか。

 安倍首相は、それほどまでに沖縄の民意を無視し、強引に憲法改正などにまで走る半面で、アメリカの言うなりに、莫大な金を投じてイージス・アショアやF35戦闘機を100機も買うと決めて、トランプ大統領に褒めてもらい、自分のホームページのトップをトランプ大統領との握手の写真で飾るなど、いよいよアメリカの手先としての顔を強くしている。

 今朝の新聞の川柳に「アメリカのポチかと思えばカモだった」と言うのがあったが、まさにその通りではないか。安倍首相はどう見ても日本の国民のために尽くす首相ではなく、日本におけるアメリカの利害関係の代表者であるとしか思えないであろう。国民のために働く首相のいないこの国の将来が危ぶまれる。

 国民は皆事の成り行きを見守っている。日本の首相であるならば、せめて沖縄の人々の切ない願いにはもう少し努力を払うべきではないか。