シビリアンコントロール

 防衛省は最近組織を見直して背広組と制服組を対等にすることにしたようである。まだ国会の承認を得ているかどうかは知らないが、現在の政治の流れから見ると早晩そうなるであろう。新聞ではあまり書き立てられないがこれは将来必ずや取り返しのつかない禍根を残すことになるであろう。

 戦前の軍部の横暴は眼に余るものがあり、陸軍の参謀本部や海軍の軍令部が陸軍大臣や海軍大臣以上の権限を持ちシビリアンコントロールが全く効かなかったことによるものであり、その結果があの悲惨な戦争であり惨めな敗戦となったのである。

 この苦い経験があったからこそ戦後自衛隊が育っていく過程でもずっと背広組が制服組をコントロール出来る仕組みを守ってきたのに、なぜ今になってそれを忘れてか故意にかその原則を変えねばならないのであろうか。

 これを破るといつかまた軍部の抑えの効かない暴走が始まるのは明らかである。軍部は武力を持っているのでどこの国でも軍部をうまくコントロールしておかないと必ず暴走し最悪の場合には軍事クーデターが起こることにもなりかねないことは世界の歴史をみても明らかである。

 軍隊の組織が大きくなればなるほど軍部の発言力は大きくなる。自分の意のままに振舞いたくなる。そこに不満がたまると武力を持っているだけに反乱さえ起こらないとも限らない。軍部はいつもしっかりとコントロールのもとにおいておかないと、民主主義は守れない。独裁政権の誕生ということになりやすい。

 人々はこの重大な変更を見逃すべきではない。シビリアンコントロールの消失が将来必ずいつかは軍部の暴走を起こすことを歴史に照らして認識してておくべきである。