トゥーヌイービヤ、ユヌタケヤアラン

 沖縄県知事になった玉城デニー氏が当選演説の時に言った言葉だそうである。昔からの沖縄での言い伝えのようなものらしいが、「十本の指は同じ長さではない」と言う意味で、知事はこの言葉を引用して、個々の人間が尊重される社会を目指すことを語ったそうである。

 沖縄では度重なる選挙による民意さえ無視されて、政府による辺野古基地建設が強引に進められているが、本土に住む住民にとっては、沖縄は遠く離れた僻地であり、今ひとつ理解が足りない。どうしても他人事になりやすく、SNSなどには基地反対の住民運動に対しての中傷さえ見られる。

 沖縄は先の大戦で、本土決戦を先延ばしするための犠牲となって、国内では唯一の米軍が蹂躙する戦場となり、住民の四人に一人が死ぬと言う過酷な経験をさせられた上、米軍の占領によって無理やり土地を奪われ、膨大な米軍基地が作られたのである。

 しかも、戦後も引き続き長期にわたって占領が続き、その後も本土の基地問題を軽減する為もあって、殆どの米軍基地が沖縄に集中させられ、今日に至るまで際限もなく、未だに米軍の事故や事件で悩ませられ続けているのである。

 沖縄は外国ではない。同じ日本の国内であり、そこに住む住民も同じ日本人である。本土の人と同じように、それぞれの家族があり、毎日の生活があるのである。本州や九州、四国の人たちとなんら変わらない。

 「トゥーヌイービヤ、ユヌタケヤアラン」と言われる如く、住んでいる所が少し違い、気候風土や生活の仕方、考え方などの違いがあるにしても、本土同様に色々な人が住んでおり、同じ同胞として共に喜び、共に悲しみながら、共に生きていく運命にある。

 沖縄で起こっていることは、明日にでも本土でも起こり得ることなのである。決して他人事ではない。一人でも多くの人に沖縄のことを自分のこととして感じて欲しい。

 出来れば沖縄に行って、レジャー施設だけでなく、米軍基地の現状や、沖縄の人々の暮らしを見て、沖縄の人たちの悲しみを知り、沖縄の人たちと一緒に、我が事として基地の問題も考えて欲しいと切望するものである。