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百歳老人

 今年もまた「老人の日」がやってきた。正確には「老人の日」ではなく「敬老の日」だそうである。「こどもの日」はあるが「老人の日」もしくは「としよりの日」がないことについては昨年書いたので、ここでは触れないが、この日が来るごとに数えられるのがいつも老人の数である。

 今年は百歳以上の人について見てみよう。

 1963年には日本中で百歳以上の人は僅か153人に過ぎなかったそうである。当然皆から羨ましがられて祝福され、政府からも銀盃が送られた様である。ところが高齢化の進んだ現在は何人ぐらいだと思われますか。

 最近の新聞によると、今年の百歳以上の人の数は実に65,692人だそうで、昨年と比べても4,124人増加しているということである。そのうち女性が87.6%とというからほとんどが女性だと言っても良い。平均寿命を見ても男性が80.5歳であるののたいし女性は86.8歳なので、女性の方が生命力が強い様である。最高齢者も女性が116歳、男性が112歳だそうである。

 これだけ増えると、もはや百歳といってももう珍しい存在ではない。昔なら知人の話などで百歳と聞けば、”ヒエー”とびっくりしたものだが、今や日常的にも、「誰それのおばあさんが百何歳でまだ元気だとか」「百何歳で亡くなった」とかいう話を普通の会話で聞くようになったことからも、百寿者の増加ぶりが感じ取れる。年寄りが多くなった世田ヶ谷区では、1平方キロ四方に6人もの百寿者がいることになるのだそうである。

 ところで、この様に長生きは女性の方が多いが、百歳老人の生活の内容を見ると、寝たきりとも言えるベッド上のみの生活の人は女性で41.5%に対し男性では22%と約半数であり、起立、食事、入浴など身の回りの自立の程度も、社会生活が可能な人や生きがいを持っている人の割合までも男のほうが女より全て良い結果になっている。男性のほうが数は少なくても、より優れた人だけが残っているためであろうか。

 こういった成績はともかく、これら百寿者も初めは少人数だったので政府も表彰しようということになったのだろうが、その後の増加傾向はあまりにも急速で、1981年に千人を越し、1998年には1万人の大台を突破、2012年には5万人を超えるという、幾何級数的な増加で、当然、表彰する予算も足らなくなり、途中から表彰は新たに百歳になった人だけにし、さらに今年からはこれまでは本物の銀盃を記念品にしていたのを銀メッキの盃に変えることになったそうである。

 長寿を祝うと言いながらも、世間の敬老の精神も欠けてきたし、老人の環境も次第に悪くなっていくようである。