中國音楽演奏会

 日中友好協会の招きで来日した、上海江南シ竹楽団という中国の伝統楽器による中國音楽の演奏会を聞く機会があった。

 12人の構成で来られ、年配の人間国宝と言われる楊琴奏者が団長格で、この方は一曲港演奏されただけだが、他の11人の演奏で、残りの曲を楽しませてもらった。

 中国の楽器の演奏については、二胡など個別の楽器による演奏は聞いたことがあるが、色々な楽器の合奏による室内管弦楽のようなものは初めてだったので興味深く聞かせてもらった。

 11人の構成はテーブルのような楊琴が真ん中に置かれ、左手に縦笛、横笛、ピーパと呼ばれる琵琶、三弦、それに中国琴が並び、右手には二胡が二人と阮咸と称する真ん丸の胴の弦楽器、日本のより大きい笙、それに後ろになって見えなかったが打楽器が一つ加わったものであった。縦笛と笙の二人だけが男性であとはすべて女性であった。

 真ん中の楊琴の女性がコンサートマスターの役割を果たしているようで、その人の合図で演奏が始まるが、西洋音楽のコンサート等と違い、演奏中の各演者の表情が豊かで、お互いにもうなずき合っているような仕草が印象的であった。

 曲目はこれまでにも聞きなれた中国らしいメロディの音楽が続いた後、この楽団が作曲したという、少し従来の中国風とは異なった響きの曲があり、終り2曲は日中友好を記念して日本の曲となっていた。

 なかなか素晴らしい演奏であったが、興味深く思ったのは、同じ琵琶でも中国の方が少し大きいようで、演奏も日本のものよりダイナミックだったし、中国琴がメインの曲もあったが、同じ琴でも指の動きも激しく、これでも同じ琴かと思われるぐらい躍動的で素晴らしい演奏であった。

 しかし、やはり中国音楽は古代からの五音、七声、十二律を用いる中国的旋律の伝統に基いているので、ファ音がないなどの特徴があり、日本の音楽を演奏するには難しいところがあったと説明されていた。

 音楽のことは詳しくないので、西洋音楽などとの比較などは出来ないが、中国音楽は昔から聴き慣れていることもあり、馴染深い面があるので、難しいことは別として、十分楽しませてもらえた。

 殆どの和楽器が昔大陸から伝わってきたものであろうから、同類の楽器を見つけ、その違いを確かめるだけでも楽しかった。