戦前への逆戻り?の不安

 昨日の敗戦記念日の政府主催の戦没者慰霊祭で安倍首相は遂に戦争に対する反省や不戦について一言も触れなかった。

 国民の多くが東日本大震災に続く秘密保護法や集団自衛権等の政治的な動きを戦前の関東大震災に続く治安維持法から第二次世界大戦への動きに重ねて悪夢の再来を怖れている中で、政府は「もう一度日本」といって戦前の日本の復活を願い、周辺国との問題をこじらせ、国民に反中、反韓感情を煽り、必要とあらば武器を持って戦える国にし、戦いをも辞さないと考えているように見受けられる。

 しかし、歴史は繰り返さない。現状は決して戦前の復活を許さない。現在の自衛隊と戦前の皇軍との決定的な違いは皇軍天皇の軍隊であったのに対し、自衛隊はアメリカの配下の軍隊であることである。いずれも国民の軍隊でないことにおいては同じであるが、自衛隊の増強は必然的に日本ではなく、アメリカの戦争に巻き込まれることになる違いがある。アメリカの意向によってこの国の人々が戦争に巻き込まれる恐れがあるのである。

 政府の言う「国際社会に貢献」というのは「アメリカ政府に貢献」と読み替えるべきであろう。政府がアメリカの意向に背いて独自に動けないことは、沖縄の基地移転の問題の経過一つ見ても明らかであろう。

 アメリカからの真の独立なくては日本独自の道は歩めない。アメリカは日本を自国のアジアにおける権益保護の橋頭堡としていつまでも利用しようとしているのであり、政府はアメリカの意に忠実な官僚に乗せられて行動しているばかりであり、それに悪乗りしているのが首相の姿のように思われる。