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世界の潮目が変わってきた

 最近新聞を見ていると世界の潮流が明らかに変わってきているのを感じさせられる。

 日本の国内では安倍政権がメディアを抑えて反対の声を封じ、国民不在の中で、アメリカに言われるままに集団的自衛権だの秘密保護法、安保法制の改定などを進め、日米同盟の強化、自衛隊のアメリカの先兵化などアメリカへの従属国家化が一層促進されつつある。

 一方外に目を向けてみると、今一番ニュースを賑わしている問題はおそらく中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB) の開設であろう。これまでIMFだとか世界銀行など世界の金融はすべてアメリカが牛耳ってきたため、中国など新興国には利用しにくい面などがあり、中国が新たなAIIBを立ち上げることにしたものである。

 アメリカや何でもそれに追随している日本はそれを冷たく見てきたが、 創設メンバーの申し込み期限の3月末が迫ると、イギリスが加入することを決め、それをきっかけにヨーロッパやアジアの国々が続々と加入し全部で57ヶ国にまで達し、逆に日本とアメリカだけが取り残された格好になってしまった。新聞によるとこれはアメリカ外交の完全な敗北だという声もあり、日本でも加わるべきかどうかが問題になっている。

 つい2〜3年前までならアメリカが反対する国際機関に他の多くの国が賛成することなど考えにくかったのに今や形勢逆転でこのようなことが現実になってきたことは驚くべきことである。元大蔵省の榊原氏などがアジア危機の後日本がアジアの国際的基金を立ち上げようとした案はアメリカの反対でたちまち潰されてしまったことはまだ記憶に新しい。

 アメリカやヨーロッパそれに日本などの発展が止まり停滞が続く中で中国を始めとするアジアアフリカ諸国の発展が目覚ましく、いつしか世界の主要国とされた G7もG20にしないと国際的な問題解決に十分でなくなってはきている。まだまだ国連などを通じて政治的にも経済的にもアメリカ主導で進むことが多いが、最早、一つの超大国が世界を引っ張ろうという構図は成り立たなくなってきている。

 最近のニュースでもう一つ興味深いのはアメリカがキューバとの外交関係を再開したいとする動きである。1950年代のキューバ革命以来、アメリカはキューバと敵対関係を続け、テロ支援国家指定や経済封鎖をして何とかしてキューバを崩壊させようとしてきたが、それを59年ぶりに国交を回復させようというのである。つい先日のはオバマ大統領とカストロ議長の歴史的な会談も行われた。

 どうしてアメリカの方からこのような動きが起こってきたのか初めは少し疑問に思われたが、キューバを含む中南米とアメリカの関係がこの半世紀の間に大分変わってきたことが考えられる。

 以前は中南米はアメリカの裏庭と言われたぐらいにアメリカの圧倒的な力のもとにアメリカが好きなように振舞えたが、キューバのみならず中南米諸国全体で反米傾向が強くなり、経済的な発展も進み、加えて中国などの中南米への進出も盛んになってきて、アメリカの経済封鎖の効力が薄らぐばかりか、アメリカの方が中南米市場から締め出さされる結果にもなりかねない方向に進んできていることが背景にあるようである。

 アメリカの力はまだまだ強いし、少なくともかなりの期間はアメリカが世界の強国であることに変わりはないであろうが、今や世界の潮流が徐々に変わりつつあることも確かなようである。あれだけ直接侵略までして、何とかして潰そうと苦労してきたアメリカがここへ来てキューバと仲直りしなければ自分の方が不利になりかねない情勢が見えてきたのである。

 他にも例をあげれば幾つも思いつくが、こんなニュースを見ていてもここ数年で世界の潮目が明らかに変わってきていることが見て取れる。超大国として勝手放題なことをやってきたアメリカも最早自国だけで世界を支配する力を失ってきた。他の世界とも協調しなければやっていけないことが時とともに明らかになってきた。

 こういう世界の流れを見れば、いかにアメリカの圧力があるにせよ、安倍政権のアメリカ追随策はどう見ても世界の潮流とは逆方向である。国家百年の計を立てるなれば少なくとももう少しこの国の自主独立の方策を考えるべきではなかろうか。

 ”死後の世は我関せずと思えどもせめて独立した国見たし”