ロシアのウクライナ侵攻の成り行きは?

 戦争は如何なるものであってもするべきものではないということは、過去の歴史から世界の殆どの人が知っているにもかかわらず、現実の世界では、ずっと世界の何処かで戦争が続けられてきているのが現状である。折角アフガニスタンからアメリカが撤退してやれやれと思ったら、今度はアメリカでなく、ロシアが隣国ウクライナへ侵攻した。

 原因はNATOの東方拡大が進んで、ロシアから見ればとうとう隣国ウクライナにまで反ロシア政権ができ、アメリカから武器を買い、NATOにまで加盟しそうになってきたのである。これ以上放置しておけば、ロシア自体の安全保障にも関わることなので、クリミアを奪取し、東部のロシア人の多く住む2州の独立をも図ったのであろうが、それすら解決への道は困難で。追い詰められた結果が戦争の原因であろう。

 そこまで追い込まれたことはわかるが、だからと言って、平和な国に直接武力で侵攻するとは酷すぎる。どういう結果になっていくかわからないが、世界におけるロシアの評判は地に落ち、戦いに勝ったとしてもロシアの衰退は避けられず、それを立て直すのは容易ではないであろう。

 この戦争で一番喜んでいるのはアメリカであろう。多分にアメリカが煽った形跡も見られるが、アメリカは正義の味方となり、自国は戦わずして、NATOなどの同盟を固められるし、ウクライナに武器などの援助もされるであろう。心配する欧州各国にも弱みに漬け込んで、大量の武器を売り込むことも出来るであろう。ロシア石油の締め出しで、代わりに自国の高いシェールガスをヨーロッパに売り込むことも可能かも。どう見ても、当座一番利益をうるのはアメリカではなかろうか。

 しかし大規模な経済的制裁はヨーロッパやアメリカ自体にも跳ね返るので、こちらも無傷では済むまい。西側諸国の経済的ダメージも大きいであろう。これを契機に西側経済の凋落が起こることも十分考えられる。

 そうなると、ひとり中立を守り通してきた中国が漁夫の利を得ることになるかも知れない。米露どちらにも与しない国々も、混乱した西側より安定して発展していく中国との関係を重視して行かざるを得ないであろう。西欧を離れた東アジアや中央アジア、アフリカなどの発展が促進され、世界地図が大きく変わっていく契機になるかも知れない。

 今回のウクライナ戦争が将来の世界を何処へ導いていくのか未だ分からないが、これを機会に、巡り巡って世界が動き、世界での欧米の覇権が揺らぎ、アジアやアフリカ、中南米などの国々との格差がなくなり、逆転さえしかねない一つの道筋にまでなるかも知れないのではなかろうか。