中国映画「芳華」(Youth)

 知人に勧められて「芳華(Youth)」という中国映画を見た。

 表題通りの中国の青春ラブストーリー。フォン・シャオガンという有名な監督の映画だそうで、4000万人が涙したという広告があった。

 踊りの才能を認められて、毛沢東の時代の軍の文芸工作団に入った若い女性が、毛沢東の死、中国ベトナム戦争文化大革命の時代、鄧小平による資本主義を取り入れた発展の時代へと、劇的に変化した時代を経て、文工団も解散してしまうという長い生活の歴史の中でずっと秘めていた恋心を描いたもの。

 文工団における舞踊活動から、集団生活の中での色々な葛藤を経験しながら、精神を病んだり、従軍看護婦として活躍したり、紆余曲折を経て、文工団も解散して皆がバラバラになった後になって、やっと初めから憧れていた男性に愛を打ち明けて一緒になれたというような話。

 まあ言えば、よくあるストーリーだが、京劇と現代的なバレーを組み合わせた踊りが仲々良かったし、長い時間的なスパンの中でのそれぞれの時代がよく描かれており、見ていて飽きない映画であった。

 ただ外部からの私などからすると、せっかくのこういう映画だから、文化大革命などを含む世の急激な変化を人々がどう受け止め、それに適応してきたのか、その中での人々の生活や心の変化などがもう少し描かれておればよかったと思うのは欲張りすぎであろうか。