アメリカ軍には何も言えない政府

 沖縄でアメリカ軍のオスプレイが墜落し、その救援に行ったオスプレイまでが基地に帰えった時に胴体着陸する事故があり、沖縄県民の不安を高め知事の申し入れや、そのいかんによらず、アメリカ軍自体の原因究明などのためもあり、事故以来しばらくオスプレイの飛行を見合わせていたが、アメリカ軍はわずか9日後には飛行を再開することになった。

 当然事前に日本政府にも連絡があってのことであるが、日本政府は直ちにアメリカ軍の主張を全面的に受け入れ、再開に同調して、稲田防衛大臣も「アメリカ軍のいうことには理があるとして」何も反対しなかったようである。

 沖縄の人たちがオスプレイの配置前からこぞって反対し、毎日のように騒音に悩まされ、しかもいつ落ちるかわからない恐怖に怯えながら我慢を強いられてきた挙句が現実も事故となったのである。沖縄の人たちがこぞってこれ以上我慢ならないというところまで来ているこのは当然のことであろう。

 そういう事態で知事が先頭に立って飛行停止を要望し、沖縄の自民党の議員までが反対しているのに、それに全く耳を貸さず、アメリカ軍の言いなりに文句も言わずに思い通りの再開を許してしまっている政府の態度は、翁名知事でなくても「法治国家ではない」と言いたくなる。

 日米安保条約でアメリカ軍の行動にはいささかでも日本政府は意義を挟むことができないのである。それは理解できても、国民の安全を考えるなら、その中でも少しは交渉の余地はあるはずである。アメリカに媚をうる政府はそれすらやろうとはしないのである。あまりにも情けないではないか。

 今やこの国はもはや従属国家というより、文字どおりの植民地であり、政府は国民のためではなく、宗主國のための傀儡政府だとも言えるのではなかろうか。沖縄だけの問題ではない。これを正すには真の独立よりないことを示しているものであろう。日米安保の改正を目指して声を上げなくてはならないのではなかろうか。