続々出てくる大企業の不正

 このところ日本を代表するような大会社の不正事件が相次いでいる。東芝やシャープの経営破綻は別としても、タカタのシートベルトの不正に始まり、神戸製鋼の製品に関する書類の不正があったと思えば、次いで日産や三菱の車の製品検査の不正、三菱マテリアルや三菱アルミ、東レなどの品質保証の不正と次々に社長が頭を下げることになり、外国からは、日本は謝罪の文化だと揶揄される事態になっている。

 戦後の高成長時代には技術は世界一、製品はどこにも負けないなどと自負していた日本の産業も、こうなると、やがては高度成長で追い付いてくる新興国に対しても技術の高さを自慢できなくなってくるのではなかろうか。

 従来の感覚では日本の大企業に限っては、厳正に規律も守られているのが当然で、それが日本の産業界の常識のように思われてきたのだが、最近のこの有様は一体どうしたことであろうか。

 最近の少子高齢化や会社の能率化、リストラなどで、高度成長時代を支えた人がいなくなり、人手不足もあり、昔の優秀な技術やノウハウが次の世代に正しく伝わっていないようなことがあるのかも知れない。

 しかし私が思うには、この背景にあるものは、ここ数十年の社会の大きな変化や、グローバル化などに乗せられて、会社の姿勢が従業員重視から株主重視へ大きく変わったことが影響しているのではなかろうかということである。

 以前は日本の会社は一家のようなところが多く、顧客や株主も大事だが、従業員は会社一家の一員であり、一旦仲間に加わったからには、どんな社員も死ぬまで一切会社が面倒見ていこうという建前であったのが、最近は株主こそが大事で、そのために経営努力して利益を上げる金儲けが最大の目的となり、従業員の能力は手段としてしか認めない感じになってきている。こうした会社の風土の変化がそのような原因の背景にあるのではなかろうかと思えて仕方がない。

 昔から株主優先の経営手法を取ってきたアメリカなどでは、それなりのノウハウでやって来ているのであろうが、まだそういう歴史の浅い我が国の経済界では、まだそうした新しい企業文化に慣れきっていないところにいろいろな問題が隠れているのではなかろうか。

 この際、改めて品質管理の立て直しが必要だと言われるが、品質管理を立て直し、秘密主義を廃止して出来るだけ公開するなども手を打たなければならないが、もう少し掘り下げて、株主優先が避けられないにしても、もう少し従業員あっての会社であることを思い出し、従業員の待遇改善に勤めて、従業員の生きがいや、やる気を喚起する工夫などにも改めて目を向け、従業員を重視尊重する経営風土にすることが必要なのではないかと思うが如何だあろうか。