核兵器禁止条約

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 この7月7日に国連核兵器禁止条約が122国の賛成で可決された。これは1970年に核兵器不拡散条約(NPT)が結ばれて、核保有国も暫時核兵器撤廃をうたっていたが、いつまでたっても核兵器保有国の反応がなく業を煮やした非核保有国が2016年の国連総会で核武装撤廃交渉を開始し、賛成多数で決議案を通し、今回の条約可決となったものである。

 ところが世界で唯一の被爆国であり、戦後一貫して原爆反対を唱えてきた日本がこの条約については交渉開始の決議案の段階から反対し、今回の条約にも加わっていないのである。理由はアメリカの核の傘の下にあるので、アメリカに配慮してと言うことなのだそうである。核保有国は中国が棄権下以外はアメリカはじめ皆反対している。

 しかし、アメリカの核の傘の下にあるからといって、アメリカの従属国であるからといって、戦後70年以上も経った今に至っても、未だに国民の一貫した願いである核兵器禁止すら世界に訴えられないのであろうか。国民の切なる願いを無視してまで、アメリカに追随せねばならないのであろうか。独立国家としてあまりにも情けないと思うのは私一人ではあるまい。

 同じ敗戦国でも、ドイツは今やEUの盟主として、EUとして公然とアメリカの施策にも反対しているし、今やNATOからの独立さえ云々されている。 EUとしての後ろ盾があることも大きいだろうが、日本が反中、反韓でバラバラにアメリカと対応している有様も改めるべきであろう。

 日本が国として国民の熱望に答えて本気で核兵器の廃止を望むのであれば、まずはこの核兵器禁止条約に加わり、積極的に働きかけてそれを成立させ、多くの国々とともに実質的な世界の核兵器禁止を目指して中心的な役割を果たすべきではなかろうか。

  それが原爆で殺されたり、傷ついた広島や長崎の多くの犠牲者の霊に報いる道ではなかろうか。表面的な原爆反対の訴えや原爆犠牲者の慰霊祭だけでなく、核兵器禁止への世界の潮流に乗って、今こそ日本が実質的な核兵器禁止を目指した運動で中心的な役割を果たすべきではなかろうか。

 原爆慰霊碑にも「過ちは繰り返しません」と書かれている。国民は声を大にして、政府に対し基本的な国是として、真剣に核兵器禁止に取り組み、積極的に世界に働きかけるよう求めるべきである。