首相官邸屋上のドローン

 先日来、首相官邸の屋上でのドローンが大きなニュースになっているが、ドローンが飛んできたのを見た者はなく、たまたま発見されたというのが正しい言い方ではなかろうか。

 新入の職員の研修かなにかで屋上へ上がった人がドローンが屋上に落ちているのを発見したのだそうである。びっくりして調べたところカメラや放射性セシウムの入った容器が取り付けられていたりしていたことがわかり、大騒ぎになり急遽犯人探しとなったところ、元自衛隊員だったかという人が名乗り出て威力業務妨害で逮捕されたようである。

 事件の詳しいことはわからないが、新聞によるともう2週間ばかり誰も気がつかなかったのだそうだ。完全に警護の盲点を突かれた出来事であったと言えよう。素人目にはこんな考えられないようなことが起こりうるものかと、ただあっけに取られるばかりであった。

 後から犯人だとして捕まえて威力業務妨害と言っても、2週間も放置していて何の被害も無かったのだし、今のところ法的にドローンを飛ばしてはいけないという規制はないらしいからあまり重い刑を課するわけにはいかないだろうし、首相官邸側の警護態勢の欠陥を世間に開陳した恥さらしだけで終わりそうである。

 首相官邸のことだから当然警護は大勢の職員や警察官に守られて鼠一匹通さぬような完璧な警護態勢が取られているに違いない。それにもかかわらず、屋上は決まった警備の巡回回路にも入っていなかったのであろうか。

 おそらく平面的には完璧な警備体制が出来ていたのであろうが、空からの攻撃などは過去にそんな例はないし、頭の中でも考えていなかったのであろう。完璧だと思っていてもひょんな所に抜け落ちた所があるものである。

 おそらく事件の後にドローンの規制のことなどが新聞などでも出ていることからしても、警備責任者が責任を問われ、あわてて三次元の警備態勢が取られるようになったことであろうが、どんなことでも思わぬ落とし穴のあることを考えに入れておくべきだという教訓を得るべきであろう。

 またこのことは原子力発電所の問題にしても警告してくれているものであろう。新しい安全基準は世界でも最も安全だというが、全く弱点がない施設など考えられない。このドローンの事件が教えてくれることでも、いつどこで思わぬ盲点をつかれて想定外のことが起こらないと限らないということを考慮に入れた上で、今後の原子力発電の対策をも考えねばならないことを教えてくれているものであろう。

 政治的に強引に進められているだけに原発再稼働が果たして将来に禍根を残すことにならないか甚だ心配である。