見え透いた嘘

 このところ政府のあまりにも見え透いた嘘が酷すぎる。。

 一つはこじれている日韓問題である。初め、安倍首相が自ら徴用工問題で韓国が国家間の条約を守らないから、韓国に対して半導体関係の三品目の輸出を制限するとか言って、経済制裁を始めたのに、いつの間にか政府は韓国に対する措置は徴用工問題とは関係なく、安全保障上の問題であると説明するようになったことである。その説明の変更については全く説明がないので、世界中の人は誰しも、未だに徴用工問題という政治的な問題の報復を経済でしているのだと理解しているであろう。

 それに以前は国家間の協定が出来ても、個人の請求権は残ると河野大臣も自ら明言しているのに、今ではそれを無視して、約束違反だとして、話し合いにも応じようとしないのは、それこそ”無礼”ではなかろうか。

 次いでは、トランプ大統領に言われて、アメリカからトウモロコシを大量に輸入することになった件である。誰しもアメリカの中国との貿易摩擦の問題で、アメリカの農産物を中国が買ってくれないので、アメリカの農家が困っている話もよく知っている。また、今の日本がトウモロコシを慌てて大量に買わねばならない理由は何もない。

 従って、今度の日米貿易交渉で米国産の大量のトウモロコシを輸入することになったのは、売れなくなったトウモロコシを日本に押し付け、アメリカの農家の被害を抑え、トランプ大統領選挙対策にも生かそうという、アメリカの魂胆に乗せられたものであることは明白である。

 そう思っていたら、政府はその理由として、日本でトウモロコシの害虫が発生したからだというのには開いた口が塞がらなかった。誰かが発したフェイクニュースなら良いが・・・・。

 誰しも、幾ら何でもよくそんないい加減なことを言うなと思ったことであろう。それまで新聞や他のメデイアでも、そんなこと一度も聞いたことがない。九州の方で害虫の発生はあったようだが、日本の主なトウモロコシの産地は北海道だそうだし、農水省ですら、害虫のために生産が脅かされているようなことはないと言っているのである。あまりにも見え透いた嘘である。

 昔であれば、政府がいくら嘘をつくにしても、もう少し調べて根拠のありそうな話を作って説明したものであるが、最近のこれらの件はあまりにも稚拙である。

 何処から出た情報か知らないが、官僚が綿密に考えて作ったものとは思えない。首相官邸の誰かが、手近な情報に飛びついて、無責任な説明をしたものではなかろうか。森友学園問題などから、官僚は首相府に忖度するだけの存在となり、官邸の首相の取り巻き連中あたりが勝手に暴走し始めているのではなかろうかと怪しむ。

 どうもこのところ、この国では政府の劣化が進んでいるような気がしてならない。こういうことが加速されると、この先には大きな破綻が待っていることになるであろう。それを止める手立てはないものだろうか。見当違いであれば良いが、年老いた一人の国民として気になるところである。