テレビは韓国のことより日本のことをもっと流してほしい

 このところテレビを見たら、韓国のことばかり長々と話していて、日本のことは天気のことがばかり長くて、他の国内ニュースが影を潜めてると言っても良いぐらいである。来月の消費税が10%に上がるというのに、それについてすら、社会の動静や識者の意見などがあまり聞かれない。

 嫌韓反韓を煽っても誰も得をしない。隣国は引っ越すわけにはいかない。いつまでも隣り合わせにいるからには、隣国であるだけに色々問題も起こるが、それを乗り越えてお互いに協調していかないと、どちらの国も損をするだけで、下手をすると世界から共に除け者にされかねないことがわからないのであろうか。

 それに、韓国の法務大臣指名者がどうこうした、こうしたというような、他所の国の内政の話など、日本人にとっては野次馬的な興味があっても、二次的な関心事に過ぎないのではないか。それより例えば、上野政務官汚職の疑いがあり、秘書とのやりとりの音声記録まであるのに、政務官辞任しただけで、メディアもそれについて何も追求しようともしないし、何も話さない。

 最近のメディアは、まるで戦前の報道のように、政府に都合の悪いことは何も言わなくなってしまった。こんなことで良いのだろうか。昭和一桁から二桁にかけての頃と同じようになって来ているではないか。朝日新聞など戦後に、それまでの報道姿勢を反省して総括までしているのに、また同じ過ちを犯そうというのであろうか。

 メディアの会社の幹部が安倍首相とよく一緒に食事をしたり、マスコミの会社のトップが大使に任命されたり、政府に批判的な態度をとって政策のバランスにも寄与すべきマスコミが政府と一緒になって、政府の方針の提灯持ちしかしないようでは、大政翼賛会の頃と変わりないのではないか。

 メディアはこのざまだし、首相や大臣の演説のヤジまで警官が取り締まっても、そのまま済ませられるという近頃の政府の方針を見ると、もうこの国は独裁政権の領域にまで足を踏み込んできたのではないかと、疑わざるを得ない。どう見ても、いつか来た恐ろしい道をまた歩き初めているようである。

 既に九十歳を超えた私には、もう直接関係がないと言われるかも知れないが、この国に生まれ、この国で一生を送って来た一国民としては、やはり、仲間であるこの国の人々が、再びあの哀れな運命を背負う事だけは何としても避けて欲しいと痛切に思う次第である。