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忖度

 最近世間を騒がせている豊中森友学園事件で、国会の証人喚問に出た森友学園の理事長であった籠池氏が、土地の購入に絡み、安倍首相の直接の関与はなかったが、官僚の「忖度」があって「神風が吹いたように」事態がスムースに動いたと言ってから、忖度という言葉がまた急に脚光を浴びた。

 最近はあまり使われなくなった古い言葉であるが、いかにも日本の非言語的な文化の状態を表す表現であり、日本人にはよくわかっても、直接外国語に置き換えるのは難しい言葉である。そのため、今回の森友学園問題についての外国人の記者クラブでの会見でも、通訳がこの忖度を英語に訳すのに困り、わざわざ通訳としてのコメントをつけて説明したそうである。

 忖度とは相手の気持ちを推し量ることで、似た言葉で斟酌というのもあるが、こちらは忖度して手加減するという動作が加わったものを指すようである。英語に忖度を訳すとなるとconjectureとか、surmise, あるいはread between the lines または read what someone is implyingといったところになるらしいが、これらはいずれも推測を意味するもので、日本語の忖度を正確に表現しているとは言い難い 。ニュアンスの違いをどうすることも出来ない気がする。

 「忖度」や「斟酌」は日本人が始終使う「よろしくお願いします」と同様、日本人の独特の言葉で、正確にそのまま英訳出来ない。今回の籠池氏の発言についての外国の報道では、

He hinted at "power at work behind the scenes"and that unidetified officials in the

Ministry had helped facilitate the deal.

などと書かれていたそうである。

 日本人は日常生活でいつも気遣い、気心、心遣いなどするのが当然の習慣であり、「忖度」も「斟酌」も説明されればすぐに理解できるが、言葉でのみコミュニケートするのが普通の外国人にとっては、理解しにくい言葉であろう。文化の違いが先にある。 

 外国で仕事をしている日本人がFBに書いていたが、彼は国境を越えるごとに「マインドのギアチェインジ」をするのだそうである。外国でのやり方を日本に持ち込むとKYと言われるので、帰国した時には三歩前進二歩後退で行くのだと言う。それでも日本では周囲のものが何も言わなくても皆「忖度」や「斟酌」をしてくれるので、日本人に生まれてよかったとつくづく思うそうである。