安倍首相の辞任

 漸く辞めてくれた。普通なら一国の首相が体調を崩して辞めたということなら、「お疲れ様でした。お大事に」というべきところであろうが、これだけ国民を苦しめ、国をめちゃめちゃにした首相に礼を言う積りはない。

 本来なら、辞めさせなければいけないところを、自ら辞めたのだから、辞めさせられなかったことを悔やむとともに、先に辞められてしまったことに、「これで、これまでの悪行を全てチャラにしようと思っても、そうはいかないぞ」と思うばかりである。

 今後も、森友学園加計学園桜を見る会などの疑惑は追及すべきだし、多くの閣僚の疑惑事件、安保法制や秘密保護法の強行、年金、医療、介護、生活保護の改悪、格差と貧困を広げたアベノミクスなどの多くの悪政についても、事実を明らかにし、責任の追及を続けるべきであろう。

 それはとにかく、漸く辞めてくれたか。あの顔を見なくて済む日が来るのが何より嬉しい。首相在任期間が最長になるまで我慢して、それを見て辞めたようでもあるが、正に、「最長、最低」の内閣であったと言えよう。嘘の多い人なので疑えば、潰瘍性大腸炎の悪化というのも、連日続いた最近のご馳走続きの報道からは疑問も付きかねない。

 誰かがSNSで書いていたが、「トランプなのにハートがない、シンゾウなのに心がない」と上手いこと言ったものであるが、安倍首相には国民を思いやる心がない。国民の心がわかっていないのであろう。

 個人的なことまで官僚に押し付け、自分では責任を取ろうとしないことは、森友事件で「もしも私や妻が関わっていたら総理大臣も国会議員も辞める」と言いながら、それに忖度した公務員に、公文書まで改ざんさせて、嘘の国会答弁までさせ、巻き添えをくった公務員を自死に追いやりながら、それを一顧だにしないことだけからでもわかる。

 また、コロナ対策で、時期的にずれてあまり役にたたないアベノマスクを配ったり、犬と戯れてリラックスしている映像をステイホームのシンボルとして流すなど、国民の生活感情との間のギャップの大きさが分かっていないのである。

 この無知が官邸権力の強化と結びついて、官僚たちを忖度させ、多くの事件の不透明さにつながっているのである。独裁者にはなれない小物が、独裁者の地位に押し上げられた時の悲劇を見さされたような気がしてならない。

 この先、誰が後を継ぎ、どのような政治に変わっていくのか分からないが、何はともあれ、多くの国民にとっては、少しだけでも、ホッと一息つける時を与えてくれたのではなかろうか。