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従属国家に未来はない

 今の日本は安倍政権が仕切っているのではない。集団的自衛権行使も秘密保護法も安保法制の見直しもみなアメリカに言われて進めているものである。安部首相やその背後にいるアメリカに忠実な日本の官僚組織はアメリカへの従属を一層深めながら生き残ろうと考えているようである。

 多くの国民が反対している安保関連法案の国会でのやり取りを新聞やテレビで見ているだけでも、この法案が日本を取り巻く環境が変わったので我が国の安全を確保するために止むをえず急いで法案を作って対処するというようなものではないことがよく分かる。

 国会でも追求されたように、2012年8月のアメリカのアーミテイジ・ナイレポートによる日本へのの提言9項目の一つ一つを忠実に法案化して要望に応えようとしているもので、決して安倍内閣が自主的に考えて国民を守ろうとしているのではない。秘密保護法といい安保関連法案といいこの提言通りの法案なのである。

 この提言を受けて自衛隊の統幕長が昨年12月に訪米した際、米陸軍参謀総長と安保法制について先行的に議論し、既にアメリカ軍と今年の夏までには安保法案が出来ることを約束しているし、自衛隊におけるその具体的な準備も進められて来ている。安倍首相自身も訪米時に国内の議論を待たずに、アメリカでこの法案を夏までに通す約束をしてきている。

 従って彼らにとっては国民の理解を得ることなど考えているわけではなく、国民の利益よりアメリカと結んでしまった約束をどうしても遅くならないうちに果たさなければならないのである。従って自民党の高村氏が最近「国民の理解が得られなくても今月中に通す」と言うわけである。

 殆どの憲法学者や元最高裁判事までがこの法案が憲法違反だとして撤回を求めており、多くの街頭デモや世論も反対している割合が多いのに、国民の反対を押し切ってで

もアメリカとの約束を守らなければならないというのが政府の立場である。沖縄基地の問題も同じである。

 民主党の時代に鳩山首相が沖縄の基地移転は少なくとも県外にと言い、小沢幹事長が大勢の若手議員を引き連れて中国へいったとたん、アメリカのジャパンハンドラーといわれているアーミテイジが飛んで来て説得し、脅しをかけるとともに特捜を使って鳩山、小沢両氏に対する法的な告発を通じて両氏の政治生命を断つことが行われたのはまだそう古いことではない。

 しかもそれに合わせたかのように石原慎太郎がアメリカへ行って尖閣諸島を都が購入すると言ったのをきっかけに、国がそれを購入することとなり、それまでお互いに棚上げしていた問題をわざわざ国境問題として取り上げ、中国敵視政策が急に大きな問題になってきた。

 こうして人為的に周辺事態を悪化させ、今回の安保法案を通じてアメリカ従属を一層強めるための環境整備まで政府が行ってきているのである。さらには中国や韓国に対するネガティーブな報道なども加え「我が国の安全保障環境の変化」を意図的に悪化させてきたたことも見逃せない。

 この国には国会や市民の意見ではない総理大臣をも罷免させることのできる暗黒の権力が隠然と控えているようである。現在の安倍内閣もその暗黒の権力の上で踊らされているに過ぎない。

 戦勝国であり、世界の超大国で、理不尽で横暴なアメリカなので、ある程度賢明に付き合っていかなければならないことはわかるが、これまでのように何から何まで言われるがままの従属国でなくてもよいのではなかろうか。

 同じアメリカの属国でも韓国の方が中国との関係など日本よりうまく立ち回っているようにも見える。ドイツは今やヨーロッパ連合の盟主としてアメリカと対等に振舞っていると言っても良いぐらいである。

 日本も最近の世界情勢の変化を考えて、もう少し賢明に振る舞ったほうが良いのではなかろうか。世界の情勢も変わりつつある。アメリカの力の限界も次第に明らかとなりつつある。

 ごく最近の事例を挙げるなら、中国のアジアインフラ開発銀行の動きを見ても、日本はアメリカについて融資の透明性などに難癖をつけて冷たい目で見て失敗することを望んでいたようだが、三月末の参加期限が近づいてイギリスが加入すると、雪崩を切ったようにヨーロッパの国々やカナダゃオーストラリアなどまでが次々に参加するのを見て慌てているようである。

 アメリカは手下の日本を始めオーストラリアやインドなどとともに中国包囲網を作って中国の発展を抑えようとして来たが、日本以外の国は必ずしもアメリカの意向に全て従っていないようで、今では気が付いたらアメリカと日本の方が世界の潮流から取り残されて孤立することになりかねない情勢さえ見られるようになってきている。

 安倍政権の将来の読みは明らかに誤っている。アメリカへの従属を強め、アメリカ一辺倒に国の将来を託すのを止め、ここらで真の独立国となることを目指し、世界の情勢を見ながらアメリカとも中国その他の国々とも是々非々で付き合っていくようにして行かねばこの国は世界から孤立し脱落して行かざるをえなくなるのではなかろうか。

 今の安全保障関連法案が成立すれば、これまで戦後ずっと守ってきた専守防衛路線が潰れ、アメリカへの従属を深め、アメリカのために世界の果てまで戦争に行かされ、世界の多くの人たちを敵にし、その結果、アジアばかりでなく、世界でこの国が孤立することにもなりかねない。アメリカが自国の利害を越えてまで日本を助けてくれるわけはない。

 まだまだアメリカの覇権は続くであろうが、世界は確実に変わりつつある。将来のことを考えれば、ここらでそろそろ完全な独立を考え、独立国家としてアメリカとも中国とも同じように付き合える国にしていかねばならないのではなかろうか。

 現在の安部内閣の政治はそれとは全く逆のアメリカ従属一本槍の政策を取っている。もうどうにもならないくらいがんじがらめにされてもう従順に従うしかないアメリカンスクールなどの官僚がこの国を支配していて、この国の独立を阻止しようとしているのであろうか。

 ただ、この危機に気がついている人が次第に増えていることが未来への希望である。