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過労死等防止対策推進法

 「過労死等防止対策推進法」が昨年11月1日に施行され、この7月24日にそれに基づく「対策大綱」が閣議決定された。過労死が社会的な問題となり、國際的にも「karousi」が外国の辞典にも載るようになってから、もう四半世紀にもなるのではなかろうか。

 「国際連合経済社会理事 会決議」によって設立された「社会権規約委員会」も我が国に対して、長時間労働を防止 するための措置の強化等を勧告している。

 あまりにも遅すぎる法令化であるが、当初は政府の過労死に対する救済の見方も弱く、直前の過重負荷しか認められなかったり、自殺も認定外であったのが、過労死者の遺族の方や弁護士その他の支援者などによる粘り強い働きかけがあってやっとここまで来たと言うことも出来るのかも知れない。

 それにしても過労死が長時間労働の負荷によることがわかり、それに対する相談窓口なども設けられており、長時間労働の防止がもっとも重要な措置であることが分かっているにもかかわらず、この大綱でも長時間労働者の割合を減らす努力目標を掲げるのみで、肝心の労働時間制限の数値目標は織り込まれていない。

 法は労働者だけでなく経営者などの意向も考慮して決められるのは良いが、問題は人の生死にかかわる問題であり、法自体も過労死防止を喫緊の課題と認め、長時間労働を削減し、良好な職場環境の形成などで労働者の心理的負担を軽減することが急務としながら、勤務時間制限などの具体的な対策につて触れていないのは何故であろうか。

 会社と労働組合三六協定などによる事実上の法定外時間外労働の容認で、過労死と認められる月80時間以上の時間外労働さえ容認している事業所も多いようで、長時間労働が改善される見込みもなく、この時間外労働に制限を加えることが最大の手段であることが分かっているのに、新しい大綱でも単に長時間労働の調査研究や啓発、相談手段などに終始しているだけである。

 ヨーロッパなどでは仕事を終えてから次の仕事に就くまでの時間を11時間以上と決めている国もあるようだが、それに倣うもよし、他の方法でも良いが、まずは労働時間の制限をした上で調査研究や啓発をして、順次改善していくのが順当な方法ではなかろうか。調査や啓発をしている間にも過労死する人が続くことは明らかである。

 内容の乏しい法の制定で外見のみ繕って、貧しい実態を覆い隠そうとしているように見えて仕方がない。かって人の曰くに「北欧などでやられている福祉関係の法律などで日本にないものはないが、実際に効果を上げている法律もまた日本にはない」というのがあった。労働問題の政府の対処の仕方もそれの倣うもののようである。