新聞に載っていた料理についてのアンケートの結果が興味深かった。「料理をする理由は何ですか」という質問に対する答えが、日本では「食費を抑えたい」というのが断然トップで、44%であったそうである。経済的な問題がなければ、もっと外食の機会を増やし、家庭での料理を減らしたい願望が隠れているように思われる。
調査を手がけたのは、コンサルティング会社「シグマクシス」(本社・東京都)が行った調査で、食とウェルビーイング(心身と社会的な健康)に関する6カ国調査を2019年から行って来ているようである。
対象の選び方や質問の仕方、その場面によって答えも変わってくるので、単純には比較出来ないかも知れないが「他に料理する人がいないので必要に迫られて」とか「料理しない」「家族に対する義務を感じているから」などが、18%から16%と、それに続き、何だか、積極的というより仕方なしに料理をしている人が多いような結果である。
「家族とのコミュニケーションを取れる時間だから」「自分の健康や体調をコントロールするため」という積極的な捉え方は共に14%に過ぎないが、更にそれより少ない「料理自体に興味を持ち、知識を身につけられる」という回答は日本では12%に過ぎない。タイで35%、中国34%と多く、イタリアでも25%あったそうで、日本の結果はあまりにも情けない。
また、「料理で楽しいことは何ですか」との質問に対する答えでは、多かったものから「店で食材を選ぶ」「味を褒められる」となったが、次いで「料理しない」「料理で楽しいことはない」が上位5位に入り、前回調査より増えていたそうである。外国では「料理そのものが楽しい」とする人が、米国では44%、中国55%、タイ47%と多いのに、やはり日本では対照的なである。
料理には家事労働とクリエーティブな二要素があるが、過労気味な日本人の生活の中では、どうも料理そのものの楽しみを味わに至らず、労働としての家事に埋没してしまっていることが多いのか、楽しみよりも苦しみの面が優ってしまっているようである。当てがい扶持で暮らしている者にとっては、思いの外に日本人の生活の中での食事の位置付けを考えさせられたアンケートの結果であった。