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安倍内閣の功績

 安倍内閣に功績などあるかと思われるのが普通かも知れない。憲法に違反してまでの安保関連法案の強引なやり方、住民の切なる願いを無視する沖縄の基地移転、先の選挙でスローガンに掲げながら政権を取るとそれを臆面もなく裏切ってのTPPの合意、原発事故の被害を無視しての原発の再稼動憲法など、どれを取ってみても、選挙での19%に過ぎない支持率で成立している内閣がより多くの国民の反対を押し切って強引に進める昨今の政治に心からの怒りを感じても、プラスに評価する人は、少しは物を考える人であれば、余りいないのではなかろうか。

 しかし反面教師という言葉がある。最近の一連の安倍政権の施策のおかげで皆の前に次第に明らかになってきて、多くの人が改めて次第にはっきりと理解するようになって来たことがある。

 安倍内閣がどうして秘密保護法を作ったのか。どうして平和憲法に違反してまで安保関連法案を強引に成立させたのか、どうして選挙公約で掲げていたTPPを受け入れることにしてしまったのか、どうしてまだ原発事故の被害も収束しておらず原発の危険性を排除出来ないのに原発を再稼動するのか、どうして沖縄の住民のあれだけの長年の切実な願いを無視して辺野古基地を作るのか等など、多くの疑問に共通した答えが次第に明らかになって来たのではなかろうか。

 これまでも多くの国民が薄々とは感じながらも、政府が社会的に意図的に出来るだけ表面に出ないようにし、国民の目に触れないようにしてきたこの国の基本的な現状が、誰の目にもはっきりと認識出来るようにようになって来たようである。

 安倍内閣は決して日本の国民のために政策を進めているのではないし、安倍内閣が日本の政治を動かしているのでもない。日本を動かしているのは官僚機構であり、その官僚機構はアメリカ政府の下請け官僚機構であり、綿密にアメリカの指示を受け、日本政府はその指示に従って立法し、法を執行しているのである。

 その仕組みが分かると全てのことが納得できる。これに反対すると総理大臣でも馘になることは過去の田中、鳩山両首相の運命でも明らかである。最近の一連の安部内閣の安保関連法案なども先にアメリカから示されたアーミテイジ・ナイの提案をそのまま一つづつ忠実に実行したものであることは両者を比べてみるとよくわかる。それでこそ安部首相が議会で議論するよりも早くアメリカと集団自衛権の成立を約束したり、防衛省が先走って法案の実行細則を準備したりすることが出来たのであろう。

 安倍内閣の一番の功績はこう言ったこれまで政府が極力奥に閉じ込め、人の目に触れないようにしてきた肝腎要のアメリカへの従属が嫌でも多くの国民の目の前にはっきりして来たことであろう。戦後70年これまで経済発展によって故意に覆い隠されてきた日本の恥部が今や隠しようもなく、次第に白日の下に置かれ、多くの国民の目に曝されるようになって来たことが最近の大きな変化ではなかろうか。戦後アメリカの従属国としてすでに七十年、この従属関係を百年以上も続けたい国民がいるだろうか。

 この国が安倍内閣のようにますますアメリカへの従属を深めることをやめ、自分のことを自分で決められる真の独立国家になることは左右を問わず大部分の国民が望むところであろう。密かに国民にそういう独立心をかきたてたのが安倍内閣の思わぬ功績と言えるかも知れない。