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この国はどこへ行く?

 今朝の朝日新聞天声人語に一昨日の衆議院憲法審査会に参考人として出た憲法学者長谷部恭男・早稲田大教授の発言が引用されていた。

「人間というものは、とかく感情や短期的な利害にとらわれがちである。そのため、中長期的に見たときには合理的とは言い難い、自分たちの利益に反する判断を下すことがままある――」と。

 これは今回、安部内閣が国会に提出した安全保障関連法案の骨子である集団自衛権憲法違反であるという意見の中での発言で「改憲のハードルはなぜ高いのか。理由の一つは人間の判断力があまりあてにならないから、国の基本法を変える際は、よほどの熟慮を必要とする仕組みにしてある」ことが述べられたようである。

 しかし、これは憲法に限ったことではない。正に現在、安部内閣が戦後の体制を大きく変えようとしている時の判断があまりにも近視眼的であることへの警鐘とも取れる。 

 アメリカに言われるままに従来からのアメリカへの従属をより一層深め「戦争の出来る国」にすることが果たして将来の国民の安全や平和の暮らしに繋がる道なのか、「感情や短期的な利害にとらわれずに、果たして中、長期的に合理的であるかどうか」を熟慮すべきではなかろうか。

 世界は動いている。アメリカの一極支配は揺らぎ始め、中国の躍進が顕著で、ロシアやイラン、中近東の動きにも目が離せない。多極化する世界が予想されている。そうした時に近隣のこれから栄えるであろう中国や韓国、東南アジアの諸国との関係を密にしないで、いつまでも「脱亜入米」のような政策をとり続けて再び「アジアの孤児」になって良いのであろうか。

 本来憲法を守らなければならない行政府の長である首相が憲法違反を企て、憲法改正までしようとしていること自体が国民に対する重大な裏切り行為であるが、その元にある将来構想が長期的な展望を欠いた国の将来を誤らす甚だ危険なものであることを憂うものである。