空気を読む人たち

 今朝の新聞の「声」欄に、グラウンドゴルフのクラブケースに「憲法9条改悪反対」「戦争へと進む集団的自衛権行使反対」というスローガンを付けていた人が、仲間に「外してくれない?」と言われた話がのっていた。

 その人は一瞬戸惑ったが「表現の自由憲法で保障されている」と言いかけたが、他の仲間が寄ってきて口々に「憲法なんか関係ない」「我々も同じとみられる」「皆が迷惑がっているのだから」「いいから外した方がいいよ」というので、以来グラウンドゴルフには行っていないそうである。

 いかにも日本的な風景である。これでは今のように政治の右傾化が進んでいくと、きっと戦前と同じような無言の圧力が強くなり、政府の思うままに再び戦争にも巻き込まれかねない状態になっていくのが避けられないような気がじてならない。

 建設関係の会社を経営している私の友人も、戦前戦後の時代を共有しているので私と話がよく合うのだが、そんな話は業界の集まりでは商売にも影響するので絶対に言えないとこぼしている。

 今や暗黙の世間の体制は為政者の強引なやり方に経済界やマスコミなどが全面的に協力し右へ右へと傾いていっていることは毎日の新聞を見ているだけでも明らかである。

 その中での大衆は小さな利益や、うまそうな宣伝に乗せられ、目先の利益に振り回されて、空気を読んで右や左を見て行動する人々に輪を広げ、結果として反対する人たちに同調するよう無限の圧力をかけていくことになる。

 あの戦前の破滅に向かった時代と全く同じような状態が繰り返えされようとしている気がしてならない。空気を読んで周りに同調しないと生きづらいこの国で右傾化がこれ以上進んでいくと、現在人々想像している漠然とした予想をはるかに越えてしまって、引き返しのつかない窮地に追い込まれる恐れが十分あることを考えておかねばならないであろう。