ホームレスの人たち(1)

 ホームレスといえば、普通、一定の住居を持たず、公園、河川敷、道路や駅舎などを起居の場所として、日常生活を営む人達のこととして考えられて来ているが、時代の変遷とともにその生態も変化している。

 最近は街でホームレスを余り見かけなくなっているが、決していなくなったわけではなく、生活する場所が多様化して、地方でも、格安のゲストハウス、インターネットカフェ、24時間営業の店舗などに加え、車中泊とか、身を寄せる場所として、さまざまな選択肢があるので昔のように、最初に掲げたホームレスの概念に収まりきらない人たちが多くなっているそうである。

 昼間はその日限りの細切れ仕事などをして、夜は上記のような所で寝ているような人が多いそうで、行政の統計上はホームレスは減っているそうだが、実態はそれを遥かに上回っているという話もあるようである。

 社会の変化と共に彼らの生活形態も大きく変わっていくのは当然である。私の経験でもこのホームレスにあたるような人たちはいつの時代にも目についたが、その時代、時代によってその生活環境も生活様式もずいぶん変わって来ているようである。

 敗戦後の混乱の時代には、多くの日本人、中でも、戦災被害者、家族を失った人々、外地からの引揚者、戦争帰りなどの多くの人たちがホームレスであったり、そうでなくても、それに近い生活を強いられていたものであった。

 古くは戦前の乞食、穢多、非人、鮮人、部落民などと言われた人たち、一般住民から区別され、差別されて来た人たちの中には、当然今のホームレスに該当するような人も多かったであろうが、その他でも、不作や天変地異に見舞われた時、不慮の事故に見舞われた人々や貧しい小作農民などにも同じような境遇に陥った人たちも多かったのではなかろうか。

 私も子供の頃から橋の下や、崖の下の陰、公園、人里離れた山の麓などで、そういった人たちを不思議そうに垣間見る機会があったことを今でも覚えている。子供の頃はなぜこのような人たちがいるのかわからなかったが、これらは単なる特別な人たちの問題ではなく、政治や社会のありようが大いに関係する問題であることを知るようになった。