耳からの英語と目からの英語

 最近は英語から来たカタカナ文字の日本語が多く使われるようになってきたが、それらは決して元の英語と同じではない。パソコンなどが流行り出した頃、「ストレージ、ストレージ」と出て来るので、何のことかと思ったら、Storageのことだったことがあった。せめて「ストアレージ」とでもしてくれていたらすぐに分かったのにと思ったものであった。

 英語という外国語を日本語で理解しようというのだから、どうしても一つ一つの言葉をそのまま日本語にするのは難しいのは当然である。先ずは、耳から聞いて、聞こえたようにに日本語に置き換えるのが最初であろうが、文字を見て、それを根拠に日本語にした方が誰にも通じるであろうということなりやすい。

 そんなことから、明治の初め頃の人たちは聞いた英語をそのまま日本語にしようとしたのも当然である。したがってWhite Shirtがワイシャツになったのであろうし、Hepburnさんはヘボンさんになったのであろう。I'll get offは「揚げ豆腐」と言ったとか。

 ところが戦後になると、もう英語のアルファベットも普及し、目からの英語が主流になって来た。文字からの英語を日本語に翻訳して使うことが多くなると、Audry Hepburnさんは同じヘボンさんなのに、ヘップバーンさんと呼ばれることになった。

 それでも戦後アメリカへ行った時、アメリカ軍の空軍基地が近くにあったので、戦争花嫁としてアメリカに渡った何人かの日本女性と話す機会があったが、彼女たちは殆ど耳から覚えた英語を使っていたので、また一風変わっていた。キャナディカ、キャナディカと言うので、カナダではないし、何処のことかと思ったら、コネティカットのことだったし、Emergentはエマージェントでなくエモージェントであった。

 一番驚かされたのは「安物の毛皮のことをなぜか死んだファー」というのですと説明してくれた女性がいたことであった。Die とDyeとの違いであった。

 最近は和製英語が多くなっているが、時に、元の英語は何だったのだろうかと思うこともある。