新聞によれば、首都高で車列にトラックで追突して、三人を死亡させ、三人を負傷させたとして、過失運転致死傷で二十九歳の運転手が懲役7年半の判決を言い渡されたとある。裁判長は「危険性を全く顧みず無謀な運転を漫然と続け、過失運転致死傷の中でも前例にあまりないほど悪質である」と指摘した由である。
遺族は「単なる不注意とは言えない事故でも『過失』と一括りされることに納得できずにいる」そうだが、当然のことであろう。
被告の方は、大型トラックの運転手だが、数日前から発熱していたそうで、当日も発熱や不眠、運転前に飲んだ市販の風邪薬で、意識がはっきりしていなかったそうである。新聞報道だけなので詳しいことはわからないが、車の運転が日常茶飯事になっている現在では、風邪ぐらいで車の運転を止め、仕事を休む人は少ないのではなかろうか。
もちろん個人の運転と、仕事としての運転は異なる。トラック運転手の仕事はたいてい請負である。しかも被告は会社に借金もあったという。風邪ぐらいで仕事に穴を開けるわけにはいかない。会社も風邪ぐらいで休まれては困る。道路交通安全法には使用者の責任も明記されているが、厳しく守られているとは言えない。本人からの申請がないと運転を拒否することは出来ないし、仕事の円滑な運営のためには少々の風邪ぐらいで休まれては困る。
そんな状況の下では、会社としても少々無理をしてでも、仕事を続けて欲しいいことになり、悪条件での運転も無視して、仕事優先になりやすい。会社としては「本人からの申請があれば休ませたが、申請がなければ危険性を知りようがない」のも当然である。
結局、弱い者のところに皺寄せが行き、運転手が罰せられることになる。六人もの人に危害をきたし平穏な生活を奪った運転手は当然罰せられるべきだが、その背景にある社会のありようが事故の背景にあることも考慮しなければ、この事故の処理はできても、社会的に事故を減らし無くすことには繋がらないことも社会は認識すべきであろう。