事件発生から58年も経ってやっと再審無罪判決を勝ち取った袴田事件が新聞をにぎわした頃から気になっていることがある。
無罪になったことは喜ばしいことだが、無実の罪を着せられて58年はあまりにも長過ぎる。58年も経ってからでは、その間に失われた袴田さんの人生は最早取り返しがつかない。人生の殆ど全てを殺人犯人として、社会から排除されて来てしまったのである。誰しもそれぞれの人生を送る権利があるその夢や希望のある内容を取り戻すことは出来ない。
しかも、その死刑の根拠とされた”血のついたシャツ”が捏造だったというから恐ろしい。後から弁護側の実証で明らかになった通り、”本物”ではあり得ないものが、物証として公式に認められたとすれば、誰か積極的にこの偽の物的証拠を作った者がいるはずである。
そうとすれば、検察側のでっち上げのための捏造ということになる。人は誰しも誤りを犯すものであるから、判断の誤りから死刑と認定されることもありうることは仕方がないにしても、積極的に作られた偽の物証が根拠にされて、死刑判決が下されることは許せない。
58年経ってからとは言え、袴田さんが再審無罪となって釈放されたことは本当に喜ばしいことで、新聞などの報告でも多くの国民が一緒に喜んだが、この偽の証拠物件を誰が作ったのかなどについては、誰も何も言っていないような気がする。検事総長だったか?のこの件についての談話でも、何も触れられていなかったようである。
また、袴田さんが真犯人でないとしたら、誰か他に犯人がいる筈である。もう58年経って時効も成立しているであろうが、それについては今更、無視しても良いものであろうか。
近年における再審無罪には次のようなものがあるそうである。
死刑確定後の再審無罪
死刑が確定した後、再審で無罪が確定した事件には無罪判決順に次の5件がある(カッコ内は は無罪判決年)。
- 免田事件(1983年):事件発生から35年後に再審無罪判決。
- 財田川事件(1984年):事件発生から34年後に再審無罪判決。
- 松山事件(1984年):事件発生から29年後に再審無罪判決。
- 島田事件(1989年):事件発生から35年後に再審無罪判決。
- 袴田事件(2024年):事件発生から58年後に再審無罪判決。
検察は偽の証拠を作っても犯罪にならないのか?無実の国民の一生を奪っても良いのか。再審査終了を待たずに無罪なのに死亡した人もいるのではなかろうか?色々疑問が湧く。再審制度の見直しなども議論されているようだが、私なりに心に引っかかっていることである。
なお、最近新聞で見たのだが、「大崎事件」では、再審を認めた元裁判長が、検察の不服申し立てにより再審を取り消した最高裁の誤った決定で、20年以上前に無罪となった可能性の高い現在九十八歳という被告について書いていたが、人の一生に関わる、誰にも償いえない過ちを国は無視するのかと言いたくなる。
戦前を思い出させる最近の「大川原化工機」のような警察、検察、経産省が加担した「権力の犯罪」と言えるものまで出現してきた時代となっている。ここらで司法のあり方を根本的に見直して国民が安心して任せられるような司法制度にして貰いたいものである。