娘たちも孫も家族が皆アメリカに住んでいたので、80歳台の頃まではよくアメリカへ行ったものだった。いつも女房と一緒に行っていたが、一度、仕事の都合で女房が先に行って、日を変えて、後から私が行くことになったことがあった。
女房はいつものようにエコノミーで行ったが、私が行く時には一人だったからか、エコノミーの切符だったが、航空会社の何かの都合で、ビジネス・クラスの座席に乗せてくれた。隣の座席が米軍病院の検査技師でだったので、少し会話を交わしたことを覚えている。
アメリカについて女房に自慢したが、帰国する段になって、いくらなんでも行きも帰りもビジネス席というわけにはいかないと思っていたが、往きが女房と私が別便だったので、帰国便の席も当然別々の離れたところの席になっていた。
そこで空港の地上の係員に隣同士でなくとも、近くの席に変えてくれないかと申し出た。「しばらくお待ちください」という返事だったが、飛行機は満席のようだったし、これは無理かなと思っていたら、搭乗間際になって、夫婦共に隣同士のビジネス席に案内してくれた。
おかげで、思っても見なかったことだが、往復ともにエコノミー券でビジネス席に座って、太平洋を往復することになった。アメリカン航空だったので、夫婦の関係を日本以上に大事にするからこんな事もあるのかなと思ったものであった。女房と隣同士のビジネス席で帰ることが出来たのであった。
勿論こんな僥倖が繰り返されるわけもなく、アメリカへは何度となく往復したが、後にも先にもこんなことはその時限りであった。しかし、今となっては忘れ難い思い出となっている。