子供の日

 5月5日は子供の日である。大型連休の間にあるので、例年、外国旅行へ行ったり、琵琶湖の音楽祭に行って音楽を聴き、湖畔の逍遥を楽しんだりしたことが多かったが、九十歳も後半になると体力も衰え、もう遠方へは行けなくなってしまった。

 それでも、暖かくなり、こんな気持ちの良い青空が拡がっていると、どうしても外へ行きたくなる。近在を散策して春の陽気を楽しむことにしている。今年は歩行補助車を使って近くの河原を散策して来た。

 幸い、私の住んでいる池田市は、すぐ横を猪名川が流れ、後ろには五月山という低い山が連なっている。城址の公園もあるし、動物園や植物園もある。古い土地なので、お寺や古墳、名所、旧跡には事欠かない。

 猪名川には、以前は毎年4月の中頃から川を横切って色とりどりの沢山の鯉のぼりが空を泳いでいたものだったが、コロナの流行と共に消えてしまった。その代わりでもないが、最近は河岸での野外のテント、バーベキュウーが流行りである。

 いつも、がらんどうな駐車場も今日は満杯で、入り口で待っている車までいた。河岸を歩けば、どこかの団体が50米から100米ぐらい延々と続くブルーシートを敷き、テントをいくつも張って、大勢の人が集まっている。救護所の旗まで立っていた。どこかの団体の家族大会ででもあろうか、子供達もあたりを走り回っていた。

 その集団に押される如く、その内側や下流の方には、個人が張ったのであろう、色とりどりの、形もバラバラな小さなテントが多数に並んでいる。最近は、小型のキャリアーにテントや折りたたみの机や椅子などを入れ、車で運んできて、テントを張り、バーベキューを楽しむのが流行りらしい。

 連休でも今は帰る故郷のない人も多く、子供連れでは旅行も大変だし、街中の小さな家では、庭で日光を浴びたり、木陰で涼むことも難しい。せめて近くの河原で、のびのびと太陽を浴びて、食事でもしようというのであろうか、河原を埋め尽くさんばかりに人々が集まり、ひと時を過ごすのであろう。

 私ら老夫婦はそれを見ながら、土手の道を散策したわけだが、端午の節句には、例年ちまきを食べるので、それを包んだ笹の葉で笹舟を作って遊んだことを思い出し、河原にいる子供達やその親に、笹を渡して笹船遊びを教えてあげたりした。

 鯉のぼりを見なくなったのは寂しいが、陽気な天気で、人々で河原が賑わっていた良い1日であった。