思い出だけでも

 歳をとって若い時のように体が動かず、足元もおぼつかなくなり、歩行補助器に頼らなければならないようでは、嫌でも行動範囲が狭まり、もう遠方には行けなくなってしまった。

 まだ元気だった頃に、よくぞあちこち旅行して来たものである。まだ元気な老人たちには「行けるうちに是非あちこち行っておいたら」と勧めたい。その時々を楽しむだけではなく、体が弱ってあまり動けなくても、色々な思い出を楽しむことが出来るものである。 

 私の場合、旅行した時に生じた地図や案内書、パンフレットなど色々な物は、帰った後は大抵、仕事などで忙しかったので、一纏めにしてそのまま残していたが、ある時、あまりに大量になるので、断捨離ということで全て捨ててしまったし、アルバムの類も多くなりすぎて嵩張るので、纏めて別宅の方へ運んでしまったので、手元にはない。

 それでも何もなくても、何かの拍子に思い出しては昔を懐かしむことが出来るものである。今でも送って来る旅行会社のパンフレットや旅行の新聞広告なども、毎日のようにあちこちの様子を知らせてくれるし、テレビでも結構あちこちの映像を流しているので、それらが手掛かりになって、昔の旅行を思い出させてくれる。

 まだ現役の頃にも、仕事がらみや 仲間内の旅行で、あちこち行ったことも多かったが、一番多く旅行したのは六十歳代から八十歳代にかけて、女房と二人での国内、国外の旅行である。旅行会社のツアーなどで行ったことも多いが、個人で旅行する方が好きだったので、二人だけで旅行したことが多いので、その方が思い出も強い。

 国内旅行では、何故か、秋田市だけは行っていないが、あとは47都道府県で行かなかった所はないし、外国旅行も個人旅行の方が好きだったので、予めプランを立て、ファックスでホテルの予約をし、何処か適当な所を根拠地として、そこに泊まり、そこからその周辺のあちこちへ行くといった形式で行くことが多かった。

 行きそびれた国や地方も多かったが、全部で何ヶ国行ったことになるのだろうか。随分いろいろな国で、いろいろな人に会い、いろいろな見物をさせて貰ったものである。今でもあちこちで出会った人々の顔がなつかしく思い出される。 思い出だけでも結構楽しませてくれるものである。

 ただ、国内でも毎年楽しみにしていた琵琶湖や西宮のコンサートや、あちこちの美術展、それに今年やっている大阪関西万博にも行けなくなったことはやはり残念である。