孤立して行くアメリカ

 トランプ大統領の再選以来、Make America Great Againのキャッチフレイズ通り 、次々と大統領令を出し、自分勝手な、世界との協調を無視した政策を実行しかかっている。世界は今は、何処までそれを推し進める積もりなのか、注意深く成り行きを見守っているところであるが、どうも雲行きは悪くなりそうである。

 アメリカは戦後に自国が主導して作った国際的な枠組みであるWHOその他から脱退し、対外援助であるUSAIDからも手を引き、ウクライナ戦争やパレスチナ戦争をやめさせると言ったり、カナダやメキシコ、それの中国に大幅な関税をかけることにしたり、移民を止める、EDIは破棄する、英語を国語と決める、人間は男女のみとするなどの主張までして、世界の潮流を無視し、世界の発展に竿を刺してまで、強引に手前勝手な政策を進めようとしている。

 ウクライナ戦争はすぐにでもやめさせられると嘯いていたので、どうなることかと世界は見ていたが、ロシアと交渉してウクライナ戦争をやめさせるとして、ウクライナの弱みにつけ込んで、これまでの援助の見返りとしてウクライナの鉱物資源開発の権利を要求しながらも、将来の安全保障は確約しないという強者丸出しの自分勝手な条件を押し付け、ウクライナを窮地に押し込み、ついに交渉が決裂してしまった。

 これでウクライナは最大の援助国アメリカの援助を受けられなくなるとどうなることか、 ヨーロッパの援助だけではやっていけない。ロシアの思いどおりにならざるを得なくなるのではなかろうか。

 ウクライナへのロシアの侵攻はもともとアメリカが仕掛けたものだが、思惑が外れてロシアは持ち堪えたどころか、返って発展し、逆にヨーロッパの国々が困惑することになり、アメリカにとっても戦争を止める方が得だということになったようで、アメリカの世界帝国の時代の終りを象徴するものとも言えるのではなかろうか。

 アメリカにとってウクライナなどは問題でない。武器の援助で散々稼いだ上に、この際援助の代償だと言ってウクライナの鉱物資源の開発権利まで要求するとは、厚かましいにも程があるというものであろう。

 また、パレスチナについても、パレスチナ人を追い出して、アメリカの所有にすると言って、トランプとネタニヤフが二人で仮想のガザに出来た新しいビーチで寛いでいる映像まで作って流し、古くからのイスラエルの思いを実現しようとしている。

 次に出てくる対中国問題、気候変動やSDSなどの国際的な諸問題等等、避けて通れぬ多くの世界的な問題にアメリカがどう対応して行くのか、世界は注視していかざるを得ないであろうが、今や世界を支配する力を失ったアメリカの行動次第では、アメリカが孤立に追いやられる場面が多くなってくるかも知れない。

 これまで自国が主導して作って来た世界の協調路線を捨て、自国優先の政策に走りだしたトランプはまるで1930年台のヒトラーを彷彿とさせるものがある。トランプ大統領の後にもこの傾向が続きそうな気配さえ伺える。

 もしこのような傾向が続いていくならば、やがてアメリカは世界の嫌われ者として孤立し、ますます凶暴になり、世界中がこの成り行きを注視して、やがては協調してその行手を止めなければならない時が来ることも考えに入れておかねばならないのではなかろうか。