今月の初め頃だったかニュースに「啓蟄」と出ていた。昔からの二十四節気の一つで、陽暦でいえば3月5日前後になるようである。寒い間、土の中に潜んでいた虫やカエルなどが出て来る季節と言われてきたようである。
例年、新聞などにも必ず載るし、特異な呼び名なので、昔からよく知っていたが、「啓蟄」と言う言葉だけ聞いて、これで冬もそろそろ終わり、もうすぐ春だ、寒さももう少しの辛抱だと教えてくれるサインとして受け取って来たようなものであった。
ところが、今年は医師会の会報だったかに、誰かが「啓蟄」について書いているコラムの記事を読んで、改めて「啓蟄」の意味などを知ることになった。「啓」は「開く」という意味だそうである。そういえば、「拝啓」など意味も考えずによく書いてきたが、「恭しく申し上げます」とでも言うことなのである。「蟄」は「蟄居を申しつける」などと言われたことのように「閉じ籠る」ことである。
なるほど、そこから、「啓蟄」とは穴の中に閉じこもっていた虫や蛇やカエルなどが、穴が開いて土中から出て来ることを指すことになるわけであろう。春の到来の印で、「菰外し」などの目安にもなっているようである。
最近ではもう古くからの言葉などを殆ど使わなくなってしまったが、昔からの惰性で、意味も深く考えずに、そのまま使われて来た言葉も結構多い。手紙でよく読んだり書いたりしてきた「拝啓」「敬具」「御中」などもそうであろう。
やがては忘れられていくであろうが、「啓蟄」のようなユーモラスな春を告げてくれる言葉は残って欲しいものである。