今年は誕生日がくれば私は九十七歳である。女房もこの三月初めには九十一歳を迎える。最近、上の娘の老人保険証が送られてきてびっくりしたが、誕生日が天皇と一日違いなので、もう六十五歳、もう高齢者の仲間入りである。まだまだ若いと思っていた下の娘も、いつの間にかと六十歳を超えている。最近は老人が老人を看るというのもよく聞く話だが、我が家でも現実の問題となってきた。
孫たちでさえ三十一歳、三十歳と、二十六歳である。曾孫がいてもおかしくない年代であるが、現実には、まだ一人もいない。昔、九十歳を超えた父が、曾孫がいないのを嘆いていたのが思い出される。
当時はまだ我が家の孫たちは生まれていなかったし、娘たちも結婚すらしてしていなかった。兄弟の家族を見ても、皆、子供の数は少なかったり、いなかったりで、曾孫は産まれそうにもなかった。
それにその頃は、まだ大家族の家も多かったので、年寄りがよれば、子や孫、それに曾孫まで加わった大勢の家族に守られるようにして、その真ん中に立っている老友の写真などを見せて自慢する者も多かった。父もそんな話を見たり聞いたりして、自分に曾孫のいないことを寂しく思ったのではなかろうかと想像したものであった。
ところが今や私の番になった。私の場合も、歳から言っても、孫の年からしても、もう曾孫がいても決して不思議でないが、現実には一人もいない。もう三十歳を超える孫たちについても、ボーイフレンドの話は聞いても、結婚の話は噂すらないので、曾孫の話など論外である。
それに、例え曾孫が出来たとしても、今では遠くなったアメリカでのことなので、父とは違って特に曾孫を期待することもない。それより今年も3月にやってくる孫たちに会うことの方が待ち遠しいこの頃である。